全国17カ所で「令和の百姓一揆」 持続可能な農業訴え
持続可能な農業への農業政策の転換を訴える集会とデモ「令和の百姓一揆2026」が3月29日、東京都港区の青山公園で開かれた。米の値段が高止まりするなど食料問題への関心が高まる中、全国各地の農業者や消費者、労働組合や農業問題を考える市民グループのメンバーなど約1200人(主催者発表)が、トラクターを先頭に提灯(ちょうちん)を掲げながら都心をパレードした。【東海林智】
集会は、「農業と農村の衰退を食い止め、安全で持続可能な食を守ろう」と農業者や農民団体などが実行委員会(菅野芳秀代表)を作り実施。昨年に続く2度目の取り組みで、この1年で26都道府県に実行委が作られ、29日は東京の他、全国の計17カ所で集会やデモを実施した。菅野代表は「直近5年で26万人の農民が農業を離れ、その数は農民の23%にあたる。農民の平均年齢は71歳で、5年後どうなるか想像してほしい。持続可能な農業を目指すことは国民的課題だ」と話し、安定した農業のために、すべての農民への所得補償の実現を訴えた。
◇生産者「生活支える所得補償を」
千葉県横芝光町で50年以上米作りをしている越川洋一さん(78)は、「農家は1年単位で仕事をしているから、工業製品などと違い簡単に価格転嫁できない。だから欧州や米国のような基本的な農民の生活を支える所得補償が必要だ」と話す。国際紛争で石油価格が高騰すれば、肥料や農機具の燃料、ビニールハウスなどの農業資材などあらゆる費用が高騰し、農業経営に打撃を与えると、抱える不安を打ち明けた。
山形市から参加した渋谷孝雄さん(74)は、会社員として働き定年後、野菜作りを始めた。「親は農家で農業の大事さは知っていたが、農業ではとても食っていけないと後を継がなかった。次代に託せる農業でなくては」と話した。
田端大輝さん(38)はパートナーののぞみさん(37)と23年に千葉県佐倉市で新規に就農した。大輝さんは「子どもたちに安全・安心できる食べ物を食べさせたいと思い、消費者から作る側に変わった」という。地域で農業体験や子ども食堂にも携わる。水田70アールと畑40アールで生産しているが、農業だけで生活を維持することは厳しく週の半分は賃労働をしている。「生活はカツカツです。安定して農業を営めるような政策に変えてほしい」と訴えた。
◇消費者「生きる基本は食べること」
一方、世田谷から子どもを連れて参加した30代の女性は、米が高騰する中、満足に食事もできない家庭の子どもたちの支援などに取り組んでいるという。一時期よりは支援の米は入手しやすくなったが、今も支援現場は大変だという。女性は「生きることの基本は食べることなのに、政府は食料自給を軽視している。武器ではなく、農業にお金を使うべきだ」と話していた。公園には親子連れの姿も目立ち、「お米大好き」のプラカードを持った子どもが、デモのトラクターに「お百姓さん頑張れ」と声をかける場面もあった。
労働組合の役員で、生活困窮者支援に関わっている50代の男性は「昨年のデモに比べると市民の参加が減っているような気がする。国際情勢もあり、食料を巡る状況はよりひどくなることが考えられるのに楽観しすぎではないか。農民の方と共に農政を変えろと訴えたい」と心配顔で話した。
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