「強制収用」の検討、社長が国交相に伝達 成田空港巡る用地問題
成田空港(千葉県)で予定する滑走路新設・延伸に必要な用地の買収のめどが立たないことから、成田国際空港会社(NAA)の藤井直樹社長が2日、金子恭之国土交通相と面会し、土地収用法を適用した「強制収用」手続きを検討していることを伝えた。新滑走路の供用開始時期が「未定」であることも説明した。
藤井社長は報道陣の取材に「国や関係自治体と一丸となって用地確保の加速化に最大限取り組んだものの、確保に至らない状況にある」と説明。「移転補償の内容や事業に納得を得られないケースなどについては、他の公共事業に鑑みて土地収用制度の活用が必要との判断に至った」とした。
一方で地権者の理解を得られるよう、400回以上の説明を行ってきたとし、任意の用地取得についても「これまで以上に精力的に進める」と強調した。
成田空港では「第2の開港」と位置づけ、既存のB滑走路(2500メートル)の1000メートル延伸と、C滑走路(3500メートル)新設の工事が進められている。インバウンド(訪日客)需要の拡大を見込み、年間発着枠を34万回から50万回に拡大するのが目的だ。
NAAは、今年3月末をめどに1099ヘクタールの用地取得を目指してきたが、確保率は89・7%にとどまった。特にC滑走路区域は88・7%と低迷。供用開始時期を示せていない。一方、B滑走路区域は99・5%と必要な用地を確保したことから、2029年度内に先行して供用開始を目指すという。
検討が進められている強制収用は開港前の1970年代にも実施されたが、国側は強引な方法だったとして謝罪し、事実上放棄した。このため、NAAが再び手続きに踏み出せば、大きな方針転換となる。関係者によると、NAAは住民への説明などを経て、早ければ6月にも手続き開始を正式決定するとみられる。
藤井社長と面会した金子国交相は「土地収用制度の活用が必要な状況に至っていることは理解する」と文書でコメント。地元の理解を丁寧に得ることと、任意の取得に向けた取り組みを継続することをNAAに求めたことを明らかにした。
土地収用法は、公共事業などの用地を強制的に買収する手続きを定めている。事業主体が申請し、国交省が事業遂行の能力や公益性などを踏まえ、事業認定を行う。認定を受けて事業主体は都道府県の収用委員会に土地の明け渡しを求める裁決を申請し、認められれば強制収用が可能となる。【合田月美、木村敦彦】
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