熊本を励ますブルーインパルスに憧れて 地震10年、隊員の思い
熊本地震から10年を迎えるのに合わせ11日に熊本県内を展示飛行した航空自衛隊のアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」のパイロット、松永大誠3等空佐(33)が13日、母校の県立済々黌高校(熊本市中央区)で講演をした。熊本地震の影響でブルーインパルス隊員を目指した自身の10年を振り返り、後輩らに挑戦することの大切さを説いた。
松永さんは済々黌高を2011年3月に卒業し、防衛大学校(神奈川県横須賀市)を経て航空自衛隊に入隊した。23年7月からブルーインパルスの2番機のパイロットとして活躍し、大阪万博や東京オリンピックでも飛行した。
講演ではまず、ブルーインパルスの役割や編成について解説。時速800キロ以上で飛行し、機体同士が約90センチまで接近することを説明し、生徒たちが聴き入っていた。
16年4月の熊本地震の際、松永さんはパイロット候補生として山口県の防府北基地で勤務していた。熊本市の実家が半壊したが翌5月の連休まで帰省できず、「辛い思いがあった」と振り返った。地震翌年の17年にブルーインパルスが故郷の空を舞い、松永さんは「自分も勇気づけられた」とブルーインパルスのパイロットを志願した。
ブルーインパルスの任期は原則3年で、11日が松永さんのラストフライトだった。熊本市上空で約20分の展示飛行を披露し、益城町や西原村で空からエールを送った。熊本城では二の丸広場などに約7万5000人(熊本市発表)が詰めかけ、空からは広場が真っ黒に見えたという。
松永さんが後輩に伝えたかったのは挑戦の大切さだ。高校生の頃は「空を飛んでみたい」という憧れしかなく、明確な目標はなかった。「今は焦らなくてよい。新しいことへ挑戦し、今しかできないことを大切にしてください」と語りかけた。自身もブルーインパルスを去る寂しさはあるが、「次の目標を見つけてチャレンジしていきたい」と話した。
松永さんは講演後、「地震直後は熊本に帰れず、悔しい思いで仕事に励んできた。熊本に恩返しをしたかった。ラストフライトで熊本の皆さんにエールを送ることができて本当にありがたい」と話していた。【野呂賢治】
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