ハンタウイルス 英国、日本人乗客の移送申し出 英で健康観察へ

2026/05/11 22:54 

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 ネズミなどの齧歯(げっし)類が媒介する「ハンタウイルス」の集団感染疑いが出ていたクルーズ船「MVホンディウス」では、乗員・乗客に関係する20カ国以上の政府が対応を迫られた。乗客に1人の邦人が含まれていた日本政府は一時、チャーター機派遣の可能性も検討していたが、チャーター機派遣を早くに決めた英政府から「日本人1人も搭乗させましょうか」と申し出があり、日本が英側に要請することになったという。

 外務省によると、乗客の邦人はスペイン領カナリア諸島のテネリフェ島で下船した後、英国政府が自国民向けに手配したチャーター機の余った席に搭乗。10日(日本時間11日)に英国に到着後、リバプール近郊の病院に隔離され、ほかの英国人乗客と共に最大45日間の健康観察を受ける。

 米英などは自国の乗客がそれぞれ20人前後いたため、チャーター機派遣を決めたが、日本の場合は邦人1人。「日本独自にチャーター機を派遣した場合、国内で批判が出る可能性もある」(政府関係者)との懸念もあった。

 日本政府には英国以外の欧州の国などからも「うちのチャーター機に乗ればいい」との申し出が複数あったといい、外務省関係者は「厳格な感染防止対策が必要で、リスクのある移送を申し出てくれるのは本当にありがたい」と感謝した。

 ハンタウイルスは潜伏期間が長く、対応するワクチンなどはないとされる。

 日英間では2013年12月、南スーダンで政府と反政府勢力が衝突した際、英軍用機で邦人5人がウガンダに退避した。21年8月にアフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが首都を制圧した際も、英軍用機で在アフガニスタン日本大使館の館員12人がアラブ首長国連邦に退避し、支援を受けてきた。これらの実績を受け、日英は今年4月、自国民保護の協力覚書に署名しており、今回は署名後初の協力例となった。【田所柳子】

毎日新聞

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