「コンパクトシティー」政策 小規模自治体で福祉負担増のリスク
人口減少や高齢化を背景に都市機能を集約する「コンパクトシティー」を目指す自治体では、短期的には総人口がより大きく減少し、特に小規模な自治体で介護保険認定件数が増加する傾向があったと、大阪公立大の加登遼(かとうはるか)准教授(都市計画)が発表した。
国が推進するコンパクトシティー構想を実現するため、「立地適正化計画」の制度が2014年に法制化された。人口や地域の特徴などに基づき、市町村が独自に計画を策定する。ただ、効果の検証は財政面などが中心で、住民生活や福祉への影響については十分に実証されていなかった。
◇導入の自治体、人口減の傾向
研究では、政令指定都市や中核市などを除く人口20万人程度までの1595自治体を対象にした。08~22年のデータを参照して導入時期の違いを踏まえた統計手法を用い、総人口や介護保険認定件数などへの短期的な影響を分析。計画を策定していたのは371自治体だった。
その結果、計画を導入した自治体では、転出入への明確な影響はみられなかったものの、総人口がより大きく減少する傾向が示された。また、全体として介護保険認定件数は増加。特に、人口5万人以下の町村では、役場や支所の移転、小学校など教育機関の統廃合を含む計画を立てた自治体で、要支援・要介護認定件数が増える傾向にあった。
◇「コンパクト+ケア」の政策を
加登准教授は、計画を導入した地域では人口減少が元々進んでいたことも結果に影響した可能性はあるとした上で、「コンパクトシティー政策が長期的な効率化を目指す一方で、短期的には代替サービスのない町村でコミュニティーの核が失われ、高齢者福祉へのダメージにつながっている可能性がある」と指摘。住民の福祉の充実に配慮した「コンパクト+ケア」の政策の運用が求められるとした。
研究成果は国際学術誌に掲載された。【寺町六花】
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