パーソナルトレーニング中の事故増加傾向 1カ月以上のけが4割
近年利用が広がっている、トレーナーから運動の個別指導を受ける「パーソナルトレーニング」での事故について、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)は27日、調査報告書を公表した。2025年までの7年間で196件の事故が登録され増加傾向で、約4割は1カ月以上のけがをしていたことが判明。業界団体などに安全を確保する仕組みの創設を求めた。
◇「ここを乗り越えないと」と言われ
調査では、パーソナルトレーニングを「個人の健康状態や運動能力に応じトレーナーが運動プログラムを定め、その指導の下、消費者が運動するサービス」と定義。ダイエットや健康増進を目的に国内で数百万人が利用していると推計した。パーソナルトレーナーに国家資格はなく、事業者や民間資格団体で横断的に共有された安全基準もない。
製品やサービスの事故情報を広く集めて共有する国の「事故情報データバンク」に登録された196件の事故のけがの程度は、治療に1カ月以上かかるものが4割を占めた。けがをした部位は腰・股関節30%▽膝・足(下半身)22%▽肩・腕10%――で、腰の骨折や膝半月板損傷、肩の筋の断裂といった重いけがもあった。
原因として、トレーナーの知識・技術・経験不足▽安全性の確認漏れや危険性の過小評価▽消費者が申告・中止などの行動をしにくい環境――があると分析。利用者が「限界です」「無理」などと伝えても、トレーナーに「ここを乗り越えないといけない」「大丈夫」などと言われ、けがに至ったケースもあった。
◇専門家「違和感は体のサイン」
再発防止策として、事業者にはトレーナー向けの基準の策定や育成・管理の見直し、事業者横断的な事故情報の収集が求められると指摘。トレーナーに向けて安全を最優先に対応するよう周知することや、消費者向けに無理のない負荷から始めること、不安や痛みがある運動は一旦やめるといった情報を提供するよう経済産業省や消費者庁など関係省庁に意見を出した。
消費者事故調専門委員の大蔵倫博・筑波大教授は、運動は本来体によいものとしたうえで「運動中は動作や指示に意識が向き体の異変に気づきにくくなり、トレーナーの判断を優先して、違和感の申告や運動の中止が難しくなることがある」などと指摘した。
さらに、安全な指導には専門性が必要だとし「違和感は効果の証拠でなく体からのサイン。そのサインを見逃さないことがけがを防ぎ、運動を長く続けるための第一歩となる」などとコメントした。【中村好見】
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