<football life>価値はJ1の3倍? 川崎フロンターレがACLEで快進撃の意義

2025/05/04 12:58 

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 サッカーのアジア・チャンピオンズリーグ・エリート(ACLE)に出場した川崎フロンターレが準優勝し、クラブの歴史を塗り替える過去最高成績を収めた。優位とされた西アジア勢を撃破し、賞金が大幅アップした大会でピッチ内にとどまらない大きな意義をもたらす快進撃を見せた。

 ◇「財布もクレジットカードも持たない」

 国内主要タイトル「7冠」の実績がある川崎にとって、未踏のアジア王者へのこだわりはひときわ強かった。過去3度進んだ準々決勝ではいずれも敗退。今回はアルサド(カタール)を延長の末に3―2で降すと、壁を突破するだけでは終わらなかった。

 準々決勝以降はサウジアラビアでの集中開催で、4強は川崎以外は地元クラブが占める中、4月30日の準決勝はアルナスル(サウジアラビア)と対戦した。

 相手はオイルマネーで潤う資金力を武器に、ポルトガル代表FWロナルド、セネガル代表FWマネ、コロンビア代表FWデュランらビッグネームが並ぶ。アウェーの環境で相手より過密日程も強いられたが、この試合も3―2で制した。

 川崎で長年プレーし、現在は「フロンターレ・リレーションズ・オーガナイザー」としてクラブを支える中村憲剛さんが「言い訳ができてしまう」と表現するほどの厳しい条件に屈しなかった。

 川崎の2023年度のトップチーム人件費は約33億円でJ1では3番目だが、約320億円とされるロナルドの年俸には遠く及ばない。

 長谷部茂利監督は決勝を前にした5月2日の記者会見で「(クラブの)予算は大事だが、プレーする時にお金も財布もクレジットカードも持たない。そこはプレーに大きく左右しない」と強調した。

 アルアハリ(サウジアラビア)との3日(日本時間4日未明)の決勝は0―2で敗れた。悲願の頂点に届かなかった選手は涙を流したが、最後まで残った東アジア勢として意地を見せた。

 ◇「お金」も大きいアジア王者

 アジアの頂点を懸けた大会は、今回から仕組みが大きく変わった。三つの階層に分かれ、川崎が参加した最高峰のACLEの優勝賞金は、ACLだった前回大会の倍以上となる1000万ドル(約14億5000万円)になり、準優勝も2倍の400万ドル(約5億8000万円)に増えた。

 1次リーグに出場した時点で各クラブに一律80万ドルの参加賞金が用意され、勝利報酬は1試合あたり10万ドル。6勝2敗だった川崎は60万ドルとなる。

 決勝トーナメントは1回戦で20万ドル、準々決勝で40万ドル、準決勝で60万ドルと、5月3日のアルアハリ(サウジアラビア)との決勝を前に賞金は計260万ドルになった。

 準優勝の賞金400万ドルを得て、賞金は大会を通じて計660万ドル(約9億5700万円)に上ったことになる。今年のJ1優勝賞金3億円と比較すると、3倍以上の金額だ。

 賞金だけではない。チームカラーにあやかり「アジア青覇(せいは)」を合言葉に、クラブとして応援グッズの販売やキャンペーンを積極的に展開した。

 パートナー企業の現地応援をサポートした川崎の営業担当者は「クラブを応援してくれる企業やパートナーが一社でも増えるようにつなげたい」と語る。

 「集客のために、いろんなアイデアや催しでクラブが努力している」と中村さん。クラブ一丸で臨んだクラブの躍動は、ピッチ内外であらゆるプラス効果を生んだ。【川村咲平】

毎日新聞

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