◇○ソフトバンク４―３ロッテ●（２日・みずほペイ）

　５連敗中のチームを勝利に導いたのは１球に強い選手の一打だった。ソフトバンクが土壇場の九回、代打・川瀬晃（ひかる）のサヨナラ打で試合を制した。「自分だけでなくチーム全員の勝利」。川瀬は涙を流した。

　今日も本拠地で負けるのか――。そんな雰囲気が漂った２点差の九回。ドラマは２死からだった。

　ベテランの中村晃が安打で出塁すると、柳町達、牧原大成の連打でまず１点を返した。さらに死球で２死満塁となったところで、小久保裕紀監督は川瀬を代打で送った。

　３ボール１ストライクと打者有利のカウントになり、四球なら同点だ。しかし、川瀬は迷うことなく打ちにいった。５球目の直球をとらえると、左中間に上がった打球は前進守備の外野手の頭を越し、チームに今季初のサヨナラ勝ちをもたらした。「同点よりは打ちにいってほしかった」という小久保監督の思惑通りの決勝打だった。

　今季の川瀬は１球に対する勝負強さが光る。４月２２日のオリックス戦でも途中出場の九回、ファウルで７球粘った末、同点となる２点適時打を放った。

　この日は鮮やかな決勝打で連敗を止め、ホームのファンに白星を届けた。それでも慢心はない。「自分のタイミングと打てる球を打つことを心がけた。日々良い準備をして、今こそ自分がやらなくてはいけないと思っている。これから連勝したい」と川瀬。次の勝利を見据えた。【林大樹】