ソフトバンク・中村晃 ピンク一色の球場、光った「仕事人」の技

2025/05/17 20:08 

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 ◇○ソフトバンク2―1楽天●(17日・みずほPay)

 どんな役回りでも使命を全うする「仕事人」が真骨頂を発揮した。

 不振の山川穂高に代わって4番に座り3試合目となったソフトバンク・中村晃が快音を響かせたのは一回だった。

 2死一塁。「とにかく次につなぐだけ」と速球を振り切ると、打球は右翼手の頭上を越え、フェンス直撃の適時三塁打となった。

 中村は「まさかスリーベースになるとは思わなかった。点が入って良かった」。小差の展開で貴重な先取点となった。

 昨季の全試合、そして今季も開幕から4番を担い続けた山川がなかなか状態が上がらず、15日の西武戦から打順を下げた。

 山川の打順変更について「2週間くらい葛藤した」という小久保裕紀監督だが、中村の4番起用は「晃、一択」と迷いはなかった。

 今季の開幕前には代打専念の構想もあった中村は「本来はなかったかもしれない打席。試合に出られているだけで幸せ」と目の前の打席に集中する。いつも通りの「つなぎの意識」で4番としての3試合、11打数5安打2打点と存在感を放つ。

 中村にとっては、もう一つ特別な意味があった。

 この日は乳がん検診について啓発、推進するイベントの一環で球場中がピンク一色だった。

 中村は2018年から乳がん患者らへの社会貢献活動を続けており、自らの取り組みに焦点が当たる日にプレーでも沸かせた。

 「なんか不思議なパワーをもらっているのかな」

 ホークスに中村晃は欠かせない。そのことをまざまざと実感する一日だった。【角田直哉】

毎日新聞

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