製造業米国回帰でiPhoneが35万円超に? トランプ関税、教授ら予測

2025/05/17 21:28 

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 米国政治に詳しい南山大の山岸敬和教授(国際教養学部)ら3人は16日、名古屋市昭和区の同大キャンパスであったシンポジウムで、米政権が「トランプ関税」の実施によって描く国内製造業復活のシナリオは「困難」との見方を示した。

 シンポジウムは、今年1月に発足したトランプ政権や米政治への理解を深めることを目的に「トランプ2・0のアメリカ」と題して開催。市民や学生ら約40人は、分かりやすい解説に聴き入った。

 トランプ大統領は高い関税で輸入車を米市場から締め出し、米自動車産業を復活させる――などといったシナリオを描く。

 山岸教授のほか、手塚沙織准教授(外国語学部)、森山貴仁准教授(同)の登壇者3人は、製造業復活の可能性について参加者から問われ「現実的ではない」との見方を示した。

 手塚准教授は、中国やアジア諸国にある製造業の拠点(工場)を米国内に戻すのは難しく、仮に実現しても米国内の人件費が既に高騰しているため「更なる物価高騰を招く」と指摘した。

 また、アップル社のiPhone(アイフォーン)の製造拠点を中国などから国内に戻した場合、販売価格は35万円以上に跳ね上がり、消費者の不満が高まることが予想され「米国の製造業を復活させるのは事実上不可能」と述べた。

 山岸教授は「トランプ氏は『アメ車を買ってくれない』と文句を言っているが、そもそも国内のアメリカ人がアメ車を購入しない。国内でも買われないのにそれをどうやって海外で売るのか」などと疑問視した。

 参加した同市名東区の無職、永井浩さん(65)は「関税や過激な政策など、トランプ氏への支持が強い理由を学べた」と話した。【丘絢太】

毎日新聞

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