日産、追浜と湘南の2工場閉鎖検討 海外は南ア、メキシコなど4カ国

2025/05/17 17:59 

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 経営再建中の日産自動車は、国内で主力の追浜(おっぱま)工場(神奈川県横須賀市)と子会社「日産車体」の湘南工場(同県平塚市)について、閉鎖を含め検討に入った。海外はメキシコなど4カ国の5工場が閉鎖対象に浮上している。日産は創業の地・神奈川の工場も排除せず大規模な合理化を検討することで立て直しを急ぐ。ただ従業員の雇用や取引先、地域経済への影響は大きく、調整は難航する可能性もある。

 追浜、湘南の2工場の閉鎖を前提にするのか、一時休止とするかなど詳細は今後詰める。労働組合や地元自治体などとの本格的な調整もこれからとみられる。

 日産は13日発表した2025年3月期連結決算で、最終(当期)損益が6708億円の赤字(前年は4266億円の黒字)に転落。さらに自動車に対するトランプ米政権の25%の追加関税の影響で利益が最大4500億円下押しされるとしており今後も厳しい経営環境が続く。こうした状況を受け、27年度までに国内外計17工場を10工場に統合し、中国を除く世界生産能力を約3割減らすとともに、グループ従業員の約15%に当たる2万人を削減する再建計画を発表していた。

 国内の主力工場が閉鎖となれば、1999年にカルロス・ゴーン氏が打ち出した大規模リストラ策「日産リバイバルプラン」に基づき、村山工場(東京都)など国内5工場を閉鎖して以来となる。海外は公表済みのインドとアルゼンチンのほか、南アフリカとメキシコ2工場を閉鎖する案がある。2月に発表していたタイ工場の一部閉鎖は今回の削減対象に含めない。

 日産は国内に五つの車両生産工場を持つ。このうち追浜工場は61年から操業し、名車「ブルーバード」などを製造。10年には電気自動車(EV)「リーフ」の量産を始めた日産を象徴する工場だ。現在は小型車「ノート」を生産し、24年10月末で約3900人が在籍している。日産車体の湘南工場は商用バン「NV200バネット」などを手がけ、約1200人が働く。【鶴見泰寿】

毎日新聞

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