「約束のものだ」 引退セレモニー直前、柴田勲さんに手渡された宝物

2025/06/03 13:05 

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 「ミスタープロ野球」と呼ばれ、国民的な人気を誇ったプロ野球・巨人の名選手で巨人監督やアテネ・オリンピック日本代表監督を務めた長嶋茂雄(ながしま・しげお)さんが3日、肺炎のため89歳で亡くなった。

 同じ巨人OBで長嶋さんに特にかわいがられていたという柴田勲さんは「僕はミスターに憧れて、巨人に入ったので……」と嘆いた。長嶋さんの伝説の引退セレモニー直前にプレゼントされたグラブは大事な宝物として自宅に飾っているという。

 長嶋さんは1974年に現役を引退した。実はその前年、柴田さんは当時の川上哲治監督から「長嶋が引退して、監督を引き継ぐ」と聞かされていた。柴田さんは当時としては珍しく、長嶋さんの自主トレに同行するなど、特に目をかけられていた。そこで、「グラブをもらえますか」とお願いしたところ快諾された。

 ところが、長嶋さんの引退は1年延びた。柴田さんは、もう忘れられたと思っていたという。だが、「巨人軍は永久に不滅です」という名言が生まれたあの引退セレモニーの直前、ロッカーにいた柴田さんに長嶋さんが近づいてきて、「約束のものだ」とグラブを渡してくれて感激した。

 グラブを大切にとっていた柴田さんは後年、テレビ東京系の人気テレビ番組「開運!なんでも鑑定団」に出品。自己評価は300万円としていたところ、1000万円と評価され驚いたそうだ。

 長嶋さんとは今季開幕戦の東京ドームで会えると思い、楽しみにしていた。だが、「風邪ををひかれてお休みです」と聞き、残念に思ったという。「いつの日にか来ることだとはわかっていた。それでもさみしい限りですね」と声を落とした。【岸本悠】

毎日新聞

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