若元春、一計案じて「新会場初金星」 10連敗中の豊昇龍に土

2025/07/14 21:05 

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 ◇大相撲名古屋場所2日目(14日、愛知・IGアリーナ)

 ◇○若元春 寄り切り 豊昇龍●

 見上げるほど高い天井に反響した拍手の音は、優しい雨のように若元春に降り注いだ。今年から名古屋場所の新会場となった新設のIGアリーナで生まれた初金星。札止めの観客のどよめきの中で、殊勲の31歳は表情を変えずに勝ち名乗りを受けた。

 2年前の名古屋場所から、豊昇龍には10連敗中だった。出足の速さが群を抜く横綱に対し、「正面からだとスピードで殺されてしまう。横から攻めよう」と一計を案じた。

 張って出てきた相手をいなし、左に逃れながら頭を押さえつけた。強じんな足腰でなんとか残した豊昇龍に、得意の左を「たまたま」差し込んだ。

 こうなれば実力者が本領を発揮する。横綱の苦し紛れの巻き替えを逃さず、体を預けて寄り切った。「焦らず攻めることができた」とうなずいた。

 金星は昨年初場所の照ノ富士戦以来二つ目。とはいえ、さほど喜んだ様子はない。かつては大関候補と目され、三役経験も豊富だからだ。「金星を取れるのは番付を落としている証拠。誇れることではない」。新会場での金星もまったく意識していなかったという。

 「引退するまでは毎日が勉強。日々、積み重ねている」。前頭筆頭で臨む今場所。もちろん、目指すのはもっと高いところだ。【石川裕士】

毎日新聞

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