サニブラウン、予選突破ならず 男子100メートル 世界陸上

2025/09/13 21:27 

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 ◇陸上世界選手権(13日、東京・国立競技場)

 ◇男子100メートル予選7組=サニブラウン・ハキーム(東レ)

 サニブラウンが目指した3大会連続の男子100メートル決勝進出は、あっけなく霧散した。

 大会初日の夜のチケットは完売。何よりも待ち望んだ満場の国立競技場の声援を「追い風」にできなかった。

 今季は前半戦からアクシデントに見舞われた。6月下旬、右股関節の骨挫傷を負ったのだ。

 同じ国立競技場開催で、世界選手権の前哨戦の意味合いもあった7月上旬の日本選手権に強行出場したものの、「片足で走っているような状態」では思い通りの走りを披露できるわけがなく、予選で姿を消した。

 それでも、動じた様子は見せなかった。

 「余計なことを考えないで、昨日の自分より前に進めるように」

 「調子が悪くても、けがをしていても、焦っても何にもならないので」

 世界選手権開幕を1カ月半後に控えた7月末、ひょうひょうとした口調で見通しを語っていた。

 手負いの状態でも日本選手権のスタートラインに立ったのは、プロとして、短距離界の国内第一人者としての自覚ゆえだ。

 「わざわざ遠くから足を運んでくれる皆さんのためにも、頑張っている姿を見せたい。自分一人の競技人生ではなくなってしまったので」

 日本選手初のオリンピックでの9秒台(9秒96)をマークしながら決勝進出を逃した昨夏のパリ五輪から、1年あまり。当時は「足りないっすね」と、幾度もつぶやいた。

 今も消えぬ悔しさと、以前にも増した責任感を推進力としたかったが、26歳はまたしても力不足を痛感する結果になった。【岩壁峻】

毎日新聞

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