<eye>美しい筋肉の伸縮に鳥肌が止まらない 心動かされた超人の祭典

2025/10/09 16:00 

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 細い体がバネのようにはじけた。世界記録更新がかかった男子棒高跳び決勝。アルマント・デュプランティス選手(スウェーデン)がポールを手放し空中に舞う。高さ6メートル30のバーを越えた瞬間、地鳴りのようなどよめきが足元から体に届いた。

 写真を何度も見返すと、首や肩には見たことがない筋が現れていた。

短距離走の選手は、一瞬の爆発力を求め、全身に太くしなやかな筋肉をまとう。男子1600メートルリレー予選では、バトンを受けて加速態勢に入る選手の体が一気に膨らんだ。

 美しい筋肉の伸縮に鳥肌が止まらない。筋肉の雄たけびはレンズ越しに体の芯まで響いた。

 陸上の世界選手権東京大会では、約200の国と地域からの2000人以上のアスリートがしのぎを削った。日本開催は2007年大阪大会以来で東京開催は34年ぶり。主催者によると、期間中、60万人以上が会場を訪れた。

 「赤の他人に、なんでこんなに心を動かされるのか」。テレビ局の世界陸上放送で長年キャスターを務めた俳優の織田裕二さんの言葉に深く共感した。【藤井達也】

毎日新聞

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