<football life>歴史的勝利直後に向かった先は… 森保監督の「選手ファースト」
東京・味の素スタジアムで14日にあったサッカーの国際親善試合で、日本はブラジルに14度目の対戦で初めて勝利した。2022年のワールドカップ(W杯)カタール大会でのドイツ、スペインに続き、またも格上を撃破。歴史的勝利の直後、森保一監督の行動には、それでもおごらない実直な性格がにじみ出た。そして今回の代表活動中、異例の苦言を発したことがあった。
これほど劇的な展開はめったにない。日本は前半に0―2とされながら、3点を奪って逆転勝ち。森保監督としては後半に送り込んだ伊東純也(ゲンク)が、2得点に絡む活躍を見せ、采配がピタリと当たった。
試合終了と同時にベンチから選手が飛び出し、お祭り騒ぎとなる中でスタッフ一人一人とハイタッチした森保監督。しばらくすると、伊東が祝福の輪から離れ、一人でピッチを出ようとしていた。森保監督はすぐに歩み寄り、伊東と会話した。痛めた右足を心配そうに見ながら言葉を掛け、労をねぎらった。その後、テレビインタビューに向かった。
「本当に選手もスタッフも、ホームでブラジルに勝つ、そして我々が成長する。みんなが努力してくれたことが結果につながって良かった。普段なら(ブラジルのユニホームで)黄色になってしまうスタジアムを青色にしてもらった」と選手をたたえ、サポーターに感謝した。
「日本人が日本を誇れるように」。そんなことを常々口にする。試合前の国歌斉唱のたびに自然と涙が両目からあふれ出てくる。しかし、今回の代表活動中には平時の穏やかな口調を崩し、異例とも言える苦言を呈したシーンがあった。
10日のパラグアイ戦に向けた前日の記者会見。キャプテンを務める遠藤航(リバプール)がけがで不参加となった後、別の選手を追加招集しなかったことについて質問された時だった。
森保監督は「国内からの招集も考えた」とした上で、JリーグのYBC・ルヴァン・カップ準決勝と代表活動の日程が重なっていたため「選手を抜くことは良くないなと思って、選手は招集しなかった」と説明した。さらにこう続けた。
「この件に関してはJFA(日本サッカー協会)、Jリーグの方が選手ファースト、そして日本のサッカーの発展のためにいろんなことを考えて日程調整はしてくださっていると思うが、代表の活動とJ1の舞台と同等の戦いが重なるのは、世界の中でもほとんどないと思うし、サッカーの主要国に関してはまずあり得ないと思う」
森保監督は「JFAだけのメリットという考え方ではない」とも語っている。自身もJ1サンフレッチェ広島の監督経験があり、事情はよく分かっている。
それでも「選手ファーストということを考えて、今後、選手が思い切って活動できるように、また日本のサッカーの環境が変わっていくとありがたい」とあえて発言した。
この発言を受けて選手も意気に感じた。ルヴァン杯準決勝を戦っていた広島所属のGK大迫敬介は「自分がいないチームが勝ち上がるってのはうれしい半面、ちょっと複雑な気持ちも正直あるので……。一番は自分がピッチに出て、チームを勝たせたい。その勝ち上がっているチームに自分がいたかったなって思いは少なからずある。(日程面は)元々、自分も思っていましたし、工夫を少ししてもらえればうれしい」と吐露した。
森保監督は代表活動がない期間は、毎週のようにJ1の試合を各地で視察。有望株の発見と同時にリーグ全体についても思い巡らせる。9月のJ1京都サンガFCの試合後には、得点を重ねているブラジル人FWラファエルエリアスについて、報道陣の質問が途切れた後に自ら話し出し「彼のような選手がいることがJリーグの中で、国内リーグですけど、国際試合をしている力を培える。Jリーグ全体でもプラスになっている」と期待を込めた。
26年のW杯北中米3カ国大会で、過去16強が最高の日本は「優勝」という途方もない目標を掲げる。
その困難を自覚しながらも、森保監督は最善を尽くそうとしている。「すべてを覚悟しながら、一歩一歩、成長していければ」。その先の日本の理想像を描いている。【生野貴紀】
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