イスラエル、ガザへの物資を取引材料に 遺体返還巡り駆け引き激化

2025/10/15 16:47 

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 イスラエル当局は14日、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスが和平合意に反したとして、一時、支援物資のガザ搬入を半減することを決めた。ただ、15日朝になってその措置を取り消した。

 搬入制限について、人質となった28人の遺体の返還が遅れており、4人にとどまったことを理由としていた。しかし、ハマスが14日夜に4遺体を返還し、15日にもさらに4遺体を戻すと表明したことで、対応を軟化させた模様だ。

 ハマスは、遺体が「がれきの下やイスラエル軍の管理地域にある」として、捜索に時間がかかると主張している。一方、イスラエル政府や人質の家族は早期返還を強く求めている。イスラエル軍は15日、返還された1人の遺体について「人質ではなかった」と発表しており、今後も駆け引きが続きそうだ。

 トランプ米大統領は14日、自身のソーシャルメディアに「まだ仕事が終わっていない。約束通り、遺体が帰ってきていない!(停戦の)第2段階が今すぐ始まる!!!」と投稿し、ハマスに合意を履行するよう求めた。

 またトランプ氏はホワイトハウスで記者団に、ハマスが「武装解除をすると(米国に)言った」と明かし、もし実現しなければ「我々が武装解除させる。迅速に、手荒に行われるかもしれない」と述べ、圧力をかけた。

 中東の衛星テレビ「アルジャジーラ」は14日、ガザでイスラエル軍の攻撃があり、少なくとも9人が死亡したと報じた。軍は部隊に近づいた住民に威嚇射撃をしたと主張しているが、停戦は不安定な状況になっている。【エルサレム松岡大地】

毎日新聞

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