米最高裁、著名陰謀論者の上訴棄却 中傷で2100億円賠償命令

2025/10/15 09:57 

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 米連邦最高裁は14日、小学校で児童ら26人が殺害された銃乱射事件を「でっち上げ」などと主張し遺族らを中傷したとして総額約14億ドル(約2100億円)の賠償を命じられていた極右政治評論家、アレックス・ジョーンズ氏の上訴を棄却した。

 ジョーンズ氏は極右のウェブサイト「インフォウォーズ」の創設者であり、司会者。陰謀論者として知られる。2012年に東部コネティカット州のサンディフック小学校であった銃乱射事件について「政府が銃規制強化への支持を得るために筋書きを作り、でっち上げた」「遺族は役者が演じている」などと繰り返し主張。遺族側は「ジョーンズ氏の主張に同調する人たちから脅迫や嫌がらせを受けてきた」と訴えていた。

 同州裁判所の陪審は22年、名誉毀損(きそん)や精神的苦痛の責任を認め、ジョーンズ氏と「インフォウォーズ」の運営会社に計約9億6500万ドルの賠償を命じた。裁判官はその後、ジョーンズ氏と「インフォウォーズ」の親会社に懲罰的損害賠償として4億7300万ドルを追加し、賠償額は総額で14億ドルあまりとなっていた。

 ジョーンズ氏の弁護団は今年9月に最高裁に提出した請願書で「この金額は決して払えない額だ」とし、「結果として、数百万人に放送を届けるメディアの被告に対し、一方的な決定による経済的死刑が宣告された」などと訴えていた。

 ジョーンズ氏は22年に破産申請をする一方、「インフォウォーズ」の番組を通じて「発信」を続けている。米CNNテレビによると、ジョーンズ氏は遺族に支払うべき損害賠償金を一切支払っていないという。【ワシントン西田進一郎】

毎日新聞

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