マリニン「出るからには新しいことを」 史上初の偉業 GPファイナル
フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルは最終日の6日、名古屋市のIGアリーナで男子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)3位のイリア・マリニン選手(米国)がフリー世界最高の238・24点、合計332・29点で逆転し3連覇を果たした。
「4回転の神」の異名を持つイリア・マリニン選手が異次元の演技で歴史を作った。
4回転フリップ、クワッドアクセル(4回転半ジャンプ)――。マリニン選手は前半の4回転ジャンプ4本を軽々と跳ぶと、基礎点が1・1倍となる後半の3本はすべて4回転のコンビネーション。最後の4回転サルコウ―トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)の連続ジャンプを着氷すると、ガッツポーズが飛び出した。
史上初めて6種7本の4回転ジャンプを着氷させ、たたき出した得点はフリー世界最高の「238・24点」。滑走直前、リンクの中で得点を聞いた佐藤駿選手も「なんか、別の競技をしてるのかな」と思わず苦笑いした。
SPでは冒頭、決めれば史上初となるクワッドアクセルからの連続ジャンプに挑んだ。着氷が乱れて単発となり、後半の連続ジャンプも出来栄え評価で減点となった。リスクの高い構成ゆえに緊張感も強く、「4回転の神」といえど重圧がかかっていた。
結果的に、首位の鍵山優真選手とは約14点の差がついた。2人のジャンプの構成を考えると、7本構成でなくても逆転優勝のチャンスは十分にあり、安全策で行く選択肢もあったという。だが「ファイナルに出るからには、新しいことを試すことが重要。全力を尽くし、新たな基盤を作ることが大事」と挑戦を選んだ。
昨季のファイナルと世界選手権では成し遂げられなかった4回転7本の着氷。今季はクワッドアクセルを投入してこなかったが、この大会で解禁。状態は「100%ではない」ながらも、異次元の構成を完遂し、「一つ一つが戦いだった。良い演技だった」と語った。
今大会では成功しなかったクワッドアクセルからの連続ジャンプや、5回転ジャンプにも強い意欲を見せるマリニン選手。次は、どんな挑戦を見せてくれるのだろうか。【玉井滉大】
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