不完全燃焼からの再挑戦 冬季パラ8大会連続出場のレジェンド・新田
レジェンドと呼ばれて久しくなった。1998年の長野から数えて8大会連続の出場を果たし、獲得したメダルは金3個を含む計5個。ノルディックスキー距離男子立位の新田佳浩選手(日立ソリューションズ)は、冬季の日本選手として最多の出場回数となった。この4年間は体力の衰えを感じながらも、新たな役割も見つかったという。
3歳のときに祖父が運転するコンバインに左腕を挟まれ、肘から先を切断した。クロスカントリースキーを始めたのは小学3年生。17歳で出場した長野大会で複数の種目で入賞すると、4年後のソルトレークシティー大会では自身初のメダルを獲得。一躍台頭し、2010年バンクーバー大会では二つの金メダルを手にした。「負い目を感じてきた祖父に前を向いてほしい」。その一心で競技と向き合ってきた。
大会を重ねるごとに「現役引退」が頭をよぎるようになった。22年の北京大会を集大成と位置づけてきたが、新型コロナウイルスの流行で準備もままならなかった。メダルには届かず割り切れない思いだけが残った。
「本当にやめちゃうんですか」。帰国後に感染症対策で隔離されたホテルで、後輩たちから尋ねられた。不完全燃焼のまま終わっていいのか。そう問いかけられているように感じ、現役を続ける決意をした。
この4年間はとにかく悔いを残さないよう貪欲に練習に取り組んできた。徐々にできないことも増えてきたが、新たに取り入れたピラティスでは体幹や柔軟性の強化のほか、これまで気付かなかった体の使い方を学んだ。
若手育成への意識もより強くなった。チームとして北京大会で金メダルを獲得した川除大輝選手(同)一人に頼りきりの状況はよくないと、積極的に若い選手たちに助言してきた。メディアから45歳になった年齢について聞かれることも多くなったが、「(大会に)出続けているからこそ、下の世代にこれまで経験したことを(厚みを持って)伝えることができる」とプラスに捉えてきた。
11日は今大会2種目めとなる10キロクラシカルに出場した。ゴールに駆け込むと、あおむけに倒れ込んだ。大きく広がるイタリアの空を見上げながら、ゆっくり息を整えた。勝負所の上り坂で粘れず、「4年間が終わってしまったかなという悔しさはある」と目に涙を浮かべた。メダルには届かなかったが「全力を尽くした中での結果」と静かに受け止めていた。【テーゼロ遠藤龍】
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