今大会唯一のイスラエル選手、複雑な思い 繰り返した「申し訳ない」

2026/03/12 19:05 

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 アルペンスキー女子立位のシェイネ・バスピは、今大会、唯一のイスラエル代表選手だ。中東情勢が緊迫する中、24歳のスキーヤーは複雑な思いを抱えて参加している。

 幼い頃に交通事故で左脚を失い、10代でスキーを始めた。前回大会、イスラエルから初めて冬季パラリンピックに出場した。

 今大会は、初戦だった9日のスーパー大回転は途中棄権したが、10日の複合は右脚一本で難コースを滑りきった。出場した15人中12位に終わり「自分のパフォーマンスには満足していないが、国を代表してここに立てていることが誇り」と振り返った。

 ユダヤ教を信仰し、安息日である土曜は大会には出場しない。今大会も7日の土曜にあった滑降を欠場した。以前、宗教上の理由でスカートを着用して大会に出たこともあり、「誰もがスポーツをしながら、自分の信じるものを守れる」と考えてきた。

 しかし、ここ数年、戦争の影がつきまとってきた。

 2023年、パレスチナ自治区ガザ地区の戦闘で、イスラエル軍に所属していたいとこが亡くなった。

 開幕直前の2月28日には米国とイスラエルがイランへの攻撃を始めた。

 「本当に厳しい状況。心はイスラエルにあるが、試合に集中しようと努めている」

 イラン選手団は安全な渡航が困難として、直前に不参加となった。

 「彼らには心から申し訳なく思っている。本当に本当に申し訳ない」

 沈痛な面持ちで、そう繰り返した。【下河辺果歩】

毎日新聞

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