髪形自由だった東北が強制でなく再び丸刈りにした理由 センバツ
高校野球界では近年、丸刈りから髪形を自由にするチームが増えた。今春の第98回選抜大会に出場する東北(宮城)は3年半ほど前、髪形を自由にした。
だが、今大会は丸刈りに戻して臨む。きっかけは「何かを変えなければ」という選手たちの危機感だった。
◇炊き出しの後に自ら…
2022年夏に就任した佐藤洋・前監督(25年11月に63歳で死去)は、丸刈りの強制をやめる方針を打ち出した。
「楽しむ野球」を掲げ、必要以上の干渉を避けて、選手たちの自主性を引き上げたいとの考えからだった。23年春には、チームを12年ぶりのセンバツ出場に導いた。
25年8月、我妻敏監督(43)が再登板の形で後を受け継いだ。
チームの船出は順風満帆とはいかず、昨秋の宮城大会前の練習試合で花巻東(岩手)に大敗した。
この敗戦で危機感を抱いた一人が、市川翔央(しょう)投手(3年)だ。
世代屈指の花巻東のスラッガー、古城大翔(だいと)選手(3年)に、決め球のスライダーをスタンドまで運ばれた。力の差を見せつけられた気がした。
「このままじゃダメだ。何か変えなきゃ」
数日後、保護者も集まっての炊き出しがあった。
その夜、市川投手は以前から丸刈りだったチームメートにバリカンを借り、自ら頭を丸めた。
市川投手は「エンジョイ(の気持ち)でやるという、洋さんの伝統も好きでした」と明かす。
「でも、負けて何かを変えようとなった時、最初に思いついたのが丸刈りでした」
他の選手も賛同し、次々と丸刈りにした。
主将の松本叶大(かなた)選手(3年)は「目標は日本一。(練習試合に)負けて、自分たちの目指すところをもう一度見つめ直した。髪形を気にしている時間はもったいないと思った」と振り返る。
我妻監督が丸刈りを指示したわけではない。
松本選手によると、我妻監督は選手たちが丸刈りにしたのを見て驚いていたが、選手たちの意向を尊重してくれたという。
前監督のやり方をただなぞるのではなく、自分の色に染め上げることもしない。あくまで選手の目標に寄り添うのが、我妻監督のスタンスだ。
我妻監督は「自分や前監督のスタイルがどうかという話ではなく、選手たちの目標をかなえるためにどうするかということ(が大事)」と話した。【深野麟之介、長宗拓弥】
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