三菱UFJ銀行の貸金庫、ほぼ部屋に防犯カメラなし 各支店に設置へ

2025/01/16 20:02 

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 三菱UFJ銀行の貸金庫から顧客の金品が盗まれた事件で、同行は16日、半沢淳一頭取ら役員5人の報酬を減額する社内処分を発表した。半沢氏は3カ月間、月額報酬を30%減額する。また、現金や金塊などを盗まれた顧客が当初の約60人から約70人に増え、被害総額は約14億円に上ると公表した。

 役員処分は、三菱UFJ銀の堀直樹会長と貸金庫を所管するリテール・デジタル部門長の山本忠司常務執行役員が、半沢氏と同じ月額報酬30%減額(3カ月)とした。副責任者の山田直人常務執行役員と北村慎常務執行役員は同20%減額(3カ月)。さらに支店長ら数人を処分する見通しで、丹後健史常務執行役員は報道陣に対し「厳正に処分する」と述べた。

 三菱UFJ銀は再発防止のため、監視体制を強化する。貸金庫がある310支店の部屋に防犯カメラがほとんど設置されておらず、不審な行動を確認できなかった。今後、各支店に防犯カメラを設置する。

 警視庁に窃盗容疑で逮捕された今村由香理容疑者(46)は、事件が発覚した東京都内の2支店で計4年半、営業課長を務め、貸金庫を管理していた。仕事の固定化が問題の長期化を招いたとみて、丹後氏は「2~3年でローテーション(異動)すべきだ」と指摘した。

 今村容疑者は外国為替証拠金取引(FX)への投資や競馬などで多額の損失を出していたとされる。このため、支店の営業課長については、登用時に過去の債務整理や投機的取引の有無を確認する。

 三菱UFJ銀は顧客への被害確認を続けており、人数や金額はさらに増える可能性があるという。被害者への補償は10日時点で約7億円(40件)。貸金庫の事業は、将来的に撤退を含め、あり方を議論する方針。

 16日には金融庁の命令に基づき、役員処分や対策を同庁に報告した。【浅川大樹、成澤隼人】

毎日新聞

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