USJ初の生え抜き社長 村山卓氏の原点は「駐車場のコーン配置」

2025/06/01 07:30 

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 来場者数世界3位のテーマパークに成長したユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の運営会社「ユー・エス・ジェイ」の社長に6月1日付で村山卓氏(53)が就任した。2001年のUSJ開園時から在籍する初の生え抜き社長だ。マーケティング部門などさまざまな職種を経験した中、最初に配属された職場は「駐車場」だった。

 東京都出身。米中西部ミズーリ州の大学と大学院で学び、1999年にMBA(経営学修士)を取得後、開園を控えるUSJへの就職を決めた。00年に米国フロリダ州で幹部候補として研修を受けた際、初日に配属されたのは駐車場だった。

 最初の仕事は駐車場内に車を誘導するコーンを置く作業。午前5時半から約2万台を収容できる駐車場をカートで回り、ふと考えた。「大学院で勉強したのに何をしているんだろう」。

 そんな気持ちが間違いだと気づくのに時間はかからなかった。開園に合わせて車が入場し始めると、コーンの誘導に沿ってスムーズに巨大な駐車場内に収容されていった。「どんな仕事でもプロがいるし、工夫すれば自分自身も楽しめて、お客様にも楽しい時間を提供できる」。このときの気付きは自身の大きな原点になっている。

 社長就任にあたり、社内向けに語ったテーマの一つとして「主体性」を挙げた。「どの仕事をしても大変な時でも楽しいと思えた。主体的にやっていけば、自分で問題を解決するという気概が出てくる」と強調する。

 パークの魅力を高める上で重要なのが働くクルーのの存在だ。従業員向け満足度調査を定期的に行い、働きやすい環境に向けて課題を洗い出す。「観光地としても従業員にも選ばれるテーマパークを目指したい」と力を込める。【妹尾直道】

毎日新聞

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