東京海上 自動車保険料平均8.5%値上げ 08年以降で上げ幅最大

2025/07/01 10:54 

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 東京海上日動火災保険が10月から自動車保険料を平均で約8・5%値上げすることが1日、同社への取材でわかった。上げ幅は確認できる2008年以降で最大。1月にも値上げしたばかりで、年内に複数回の値上げに踏み切るのは異例。物価高や人件費増に伴う修理費の高騰、多発する自然災害による保険金支払いの増加などを受けて対応を迫られた。

 他の大手も年度内の値上げを検討しており、家計の負担が増しそうだ。

 各社の保険料の改定は例年1月で、同社では24年1月(平均2・5%)、25年1月(平均3・5%)と2年連続で値上げしていた。車種や契約状況によって上げ幅は異なる。

 同社関係者は、来年1月の追加値上げの可能性については「全体の保険料水準は据え置く」と否定している。

 同社では24年度、自動車の保険料収入に対する支払い保険金や経費の割合を示す指標「コンバインド・レシオ」が12年ぶりに100%を上回った。これは自動車保険の収支の赤字を意味しており、事業の採算が合わなくなっていた。

 城田宏明社長は6月の損害保険協会の記者会見で、「1月に保険料率を引き上げたが、インフレの継続拡大を背景に当時の想定を上回って保険金支払いが増加している。収支は急激に悪化している」と厳しさを語っていた。

 大手や中堅の再編が進んだ損害保険業界では、業界首位の同社を含む大手4社が市場を分け合う状況となっている。自動車保険の保険料ベースのシェアは4社で8割を超えている。

 SOMPOホールディングス(HD)の浜田昌宏副社長は決算記者会見で明言は避けたものの、「トレンドとしては保険料を引き上げしていく方向にあると思っている」と述べた。

 傘下に三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険を持つMS&ADインシュアランスグループHDの田村悟専務執行役員も5月の決算会見で、保険料率の改定について「決まっているものはない」とした上で「物価上昇は止まらない。収支状況や経営努力も踏まえて適切なタイミングで判断する」と述べた。

 損害保険料率算出機構(東京)は24年6月、各社が自動車保険料を算出する際の目安となる「参考純率」を5・7%引き上げている。同機構によると、車載センサーなど高性能な製品の修理費用の増加や、急激な物価高などを反映しているという。

 例えば車のフロントガラスは21年度から23年度にかけて部品費が7・1%、工賃が2・8%上がった。ヘッドライトも発光ダイオード(LED)ランプの普及やオートライトの義務化などにより部品費が16・1%上がったという。【山口智】

毎日新聞

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