新築分譲マンション価格 千葉・市川は「億」目前に 25年1~5月

2025/08/06 14:58 

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 不動産情報サイトを運営するライフルは、東京都と周辺3県の新築分譲マンションの価格動向(2025年1~5月)をまとめた。平均価格が千葉県市川市で9000万円に達し、県内で初の1億円に迫ってきた。都心のマンション価格高騰が周辺に波及しており、同社の専門家は「当面はこの上昇傾向が続く」と分析している。

 ◇千葉県で10%の伸び

 ライフルは自社のサイト「ライフルホームズ」に登録された物件の1~5月の販売価格を分析した。「新築マンションは年明けから5月の連休までが商戦期で、動向の大きな参考になる」という。

 1平米あたりの平均単価は、東京23区が前年同期比20・1%増の207万円▽神奈川県が同9・7%増の105万円▽千葉県が同10・1%増の85万円▽埼玉県が同0・1%増の80万円だった。

 ライフルで不動産動向を研究するライフルホームズ総研副所長の中山登志朗さんは「急激な価格上昇の波が都心だけでなく近郊エリアに及び始めている」と指摘する。特に「周辺3県でも都心に通勤しやすい駅近くの物件は人気が出ている。都内に比べ割安感がまだある」という。

 ◇市川市の平均は9000万円

 千葉県内では市川市でその傾向が目立つ。新築分譲の平均価格は9063万円、平米単価は117万円で、いずれも県内で最も高かった。市川市は東京都に隣接し、JR総武線や東京メトロ東西線、都営新宿線の駅があり、23区の一部エリアよりも人気がある。

 県内の平米単価で見ると、鎌ケ谷市と千葉市中央区100万円▽浦安市98万円▽船橋市94万円▽千葉市美浜区91万円▽習志野市89万円――と続いた。

 都心への通勤の利便性が影響しているとみられ、京葉線の幕張豊砂駅ができた千葉市美浜区は前年同期比49%増。つくばエクスプレスの開業以来、子育て世代に人気の流山市は同16%増の69万円だった。

 ◇「価格下げる要素ない」

 一方、浦安市は同2%減の98万円。中山さんは「浦安市では駅周辺はほとんど開発されており、一戸建てに需要が移っている」と分析している。

 他にも千葉市稲毛区など平米単価が下がった地区がある。このデータはあくまで新築マンションの販売価格の平均値を見ているため、駅から離れた物件の供給が増えると数値が下がる。

 建築業界では資材費や人件費などが高騰している。輸入資材が多いため米国の関税政策の影響も懸念される。中山さんは「デベロッパーは新しいマンションの建設に慎重になっている。供給が絞られ、当面は価格を下げる要素が見当たらない」と話す。【平塚雄太】

毎日新聞

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