外交官から転身 イスラム圏での実体験ヒントにノンアル飲料開発

2025/08/16 12:15 

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 中東やアフリカでの民間人道支援や外交官の経験を経て静岡県牧之原市にある実家のミカン農園に戻った板倉純子さんが、柑橘(かんきつ)類の「ジャバラ」の果汁が入ったノンアルコール飲料「ナミノレスパークリング」を商品開発し、販売を始めた。イスラム圏で実体験した「お酒を飲まないことが前向きな選択となるライフスタイル」を提案するとともに、地元が誇るサーフィンスポット「静波海岸」を訪れる人たちの安全も願っている。

 板倉さんは国際人道支援組織「ジャパン・プラットフォーム」のスタッフや在エチオピア日本大使館での外交官など国際活動に約15年間従事した後、2019年に帰国して両親が営む「いたくら農園」を手伝うようになった。翌年には、収穫した柑橘類を加工品にして販売する「M・みかん合同会社」を設立し、ケーキやドレッシング、マーマレードなどの商品を手掛けてきた。

 国際活動から転身した理由の一つは「雇用が生まれると人々が夢や希望を語るようになる事例を現地でたくさん見た。ならば私もビジネスを始め、いつか彼ら彼女らと再びつながり、生活や心の安定によって紛争を防ぎたいと考えたから」。

 海の日に合わせて7月21日に発売した「ナミノレ」は、酸味と苦みが特徴のジャバラの果汁や果皮に加え、グリーンカレーなどに使われるコブミカンの葉を香りのアクセントとして入れた清涼感のある微炭酸飲料。静波海岸に来るサーファーや海水浴客は車の利用者が多いことや、海を安全に楽しんでもらうためにもノンアルコールがいいと考えた。

 また、東京五輪の女子サーフィン金メダリスト、カリッサ・ムーアさん(米国)が牧之原市で事前合宿を行った縁で付き合いがあることも、海をコンセプトにした商品開発への思いを強く後押ししたという。

 「ナミノレスパークリング」(300ミリリットル、1000円)は、7月にオープンした「道の駅そらっと牧之原」や静岡空港、静波リゾートホテル・スウィングビーチなどで販売している。【丹野恒一】

毎日新聞

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