職場で生理用ナプキンの備品化広がる 安心感で働きやすさ後押し

2025/09/01 07:00 

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 生理用ナプキンをトイレットペーパー同様に備品化する動きが広がっている。ナプキンの「ロリエ」を扱う花王と呼びかけに賛同した企業が協業。職場のトイレにナプキンを常備して無料で提供する「職場のロリエ」に取り組む。「当たり前にある」安心感が、女性の働きやすさを後押ししている。

 「職場のロリエ」は、ナプキンを収納する専用箱を花王が無償で提供して、ナプキンは設置する企業が購入、補充する仕組み。2022年からスタートし、8月18日時点で430超の企業などで導入された。専用箱にナプキンを入れて置くだけでよいという手軽さなどが支持されているという。

 取り組んだきっかけは、働く女性たちの声だった。花王が社内外で生理の悩みや苦労したことについて調査すると「突然生理が来た時にナプキンがなくて困った」「取り換える時間がとれない」など、仕事中の生理の悩みは予想以上に多かった。同社の担当者は「生理用品を扱う企業として、女性たちが突然の生理時にも安心して働けるようにしたいと考えた」と振り返る。

 大手建設会社の大林組は「職場のロリエ」を昨年5月から取り入れた。本社などのほか、建設現場の仮設トイレにも設置する。ナプキンの補充など、現場の女性従業員が管理するケースもあるが、大きな負担にはなっていないという。かかる費用もほぼ計画通りに収まっている。

 建設現場では、私物を置く事務所が離れていることが多いというが、急な生理でもいったん事務所に戻ってナプキンを取りに行く煩わしさが解消。女性従業員からは「安心して働けるようになった」「仕事に集中できるようになった」という感謝の声が届いた。備品化に尽力した大林組の担当者も「急に(生理に)なった時に困らないという当たり前のことが、当たり前になった」と喜ぶ。

 花王は「職場のロリエ」に加え、安心して学校生活を送ってもらうため「学校のロリエ」にも取り組む。同社の担当者は「生理を取り巻く環境を過ごしやすくするアクションをこれからも続けていきます」と話している。【嶋田夕子】

毎日新聞

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