米テスラ、マスク氏に最大147兆円の報酬を提案 時価総額8倍が条件

2025/09/06 19:23 

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 米電気自動車大手テスラの取締役会が、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に10年で最大1兆ドル(約147兆円)規模の報酬パッケージを提案したことが5日、明らかになった。米企業で史上最高額だが、時価総額を現在の8倍に高めるなど複数の条件が設けられており、実現するかどうかは不透明だ。

 報酬の条件として、2035年までにテスラの時価総額を現在の約1・1兆ドルから8・5兆ドルに高めることを求めている。5日時点で世界で最も時価総額が大きい企業は半導体大手エヌビディアの約4兆ドルで、その2倍の規模だ。また自動走行する「ロボタクシー」100万台の商業運転、テスラ車の累計2000万台の販売なども挙げている。

 これらをクリアすれば、テスラはマスク氏に発行済み株式の12%を付与する。時価総額8・5兆ドルまでテスラの株価が上昇することなどを前提にすれば、マスク氏が取得する株式の価値は約1兆ドルに相当する。

 5日に公開されたテスラの米証券取引委員会への報告書で明らかになった。マスク氏をテスラに引き留め、経営に専念させる狙いという。テスラは中国メーカーとの競争激化や、「極右」勢力に肩入れしたマスク氏の政治的言動への反発を背景に業績不振に陥っている。

 報酬案は11月の株主総会で承認される必要がある。マスク氏は18年に株主総会で承認された560億ドル規模の報酬について、昨年、裁判所から「無効」との判断を示され上訴中。【ワシントン大久保渉】

毎日新聞

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