美浜原発後の新増設巡る県民投票 福井県は否定的見解示す

2025/09/12 14:00 

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 福井県は11日、原発の新増設を巡る県民投票の実施に否定的な見解を示した。県議会9月定例会の一般質問で、三田村輝士県議(民主・みらい)の質問に、坂本裕一郎・県防災安全部長が答えた。

 同県内に7基の原発を保有する関西電力は、1、2号機を廃炉とした美浜原発(同県美浜町)に後継炉を設置する意向を表明。設置可否の判断材料を得るため、現地調査の実施を目指して住民説明を進めている。

 こうした状況を踏まえ、三田村氏は「(運転・廃炉まで含め)100年先の県民の暮らしに影響を及ぼす重大事。県民投票で直接民意を問うべきだ」と指摘した。これに対し、坂本部長は「県民の代表として県議会の議論を伺うことが重要。県民投票の限られた選択肢で、多様な意見を集約するのは難しいのではないか」と述べ、否定的な見解を示した。

 また、原発立地自治体と事業者が交わす安全協定では、新増設を含む重要事項の決定時に、自治体側の同意を得る必要がある。一方、隣接自治体の同意は必要としていないため、三田村氏は「福島の原発事故では立地自治体ではない浪江町や飯舘村も全域が避難区域となった。事故の教訓を踏まえれば、立地自治体と同等の安全協定を、隣接や隣々接の自治体にも広げるべきだ」とただした。これに対し、坂本部長は「まずは周辺地域と事業者で検討されるべきで、その際は立地地域の意見を十分に聞くことが必要」と述べるにとどめた。【高橋隆輔】

毎日新聞

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