米アマゾン、新規雇用60万人超をロボットに置き換えへ 米紙報道

2025/10/22 10:10 

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 米紙ニューヨーク・タイムズは21日、米ネット通販大手のアマゾンが自動化の推進で60万人以上の新規雇用をロボットに置き換える計画だと報じた。2033年までに販売量を倍増させる一方、人件費を抑制できる見込みだという。物流機能の維持・強化などのために多くの倉庫従業員を抱えてきた同社の職場が変革の時を迎えつつあるようだ。

 内部文書や関係者への取材として伝えた。新型コロナウイルス禍のオンラインショッピングの急増などを背景に、アマゾンは積極的な採用を展開。米国での従業員数は18年の3倍以上に増え、足元で約120万人に上っている。

 同社はロボットの導入を進めることで、27年までに本来必要となる16万人以上の新規雇用を回避できると予測。注文商品のピッキングや梱包(こんぽう)、配送といったコストは1点当たり30セント(45円)削減される見込みだ。こうした取り組みを加速させることで、避けられる新規雇用は60万人以上になるという。

 アマゾンは昨年、南部ルイジアナ州に最先端の倉庫を建設した。商品の梱包後、作業員が再び触れることはほぼなく、未来のロボット物流センターのモデルと位置づけられている。倉庫内では1000台のロボットが稼働し、自動化なしの場合と比べて従業員を25%削減した。来年はロボットを増やし、削減幅を50%に拡大させる見通しだ。

 アマゾンは超高速配送の実現に向け、人間をほとんど雇用しない倉庫の構築を目指している。同社のロボット工学チームは業務の75%を自動化させることを究極の目標に据えている。

 同紙はこうした計画が米国内のブルーカラー職に深刻な影響を与える可能性があるほか、米小売り最大手のウォルマートなど他社のモデルとなりうると指摘した。

 一方、アマゾンは同紙に対する声明で、内部文書は全体的な採用戦略を代表するものではないと述べた。【ワシントン浅川大樹】

毎日新聞

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