「投資促進や雇用の拡大につながる」 北海道知事、泊原発再稼働同意
北海道の鈴木直道知事は10日、道議会定例会で北海道電力泊原発3号機(北海道泊村、出力91・2万キロワット)の再稼働への同意を正式に表明した。立地・周辺4町村長は既に同意を表明しており、地元同意が出そろった。原子力規制委員会の残る審査や安全対策工事を経て、北海道電が目指す2027年にも再稼働する見通し。
鈴木知事は同意の理由として、再稼働後の電気料金の値下げや脱炭素電源の確保による道内経済の成長、温室効果ガスの削減を挙げた。この時期に表明したことについては「再稼働の方向性を示すことで企業の投資判断の予見性を高め、道内での投資促進や雇用の拡大につながる」と述べ、自身の判断をできるだけ早期に国に伝えるとした。
北海道では、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地選定に向けた文献調査が寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村で行われた。知事は次段階の概要調査への移行に繰り返し反対しており、その姿勢と再稼働同意との整合性を問われると、「国が最終処分事業の理解促進に努めるべきだ。こうした考えとの矛盾はない」と強調した。
泊原発3号機は7月、新規制基準を満たしているとして規制委の安全審査に合格した。政府は8月、道と立地・周辺4町村に同意を要請。10月には北海道電が再稼働後の電気料金の値下げ見通しを公表していた。
立地自治体である泊村の高橋鉄徳村長が11月17日に同意を表明したのを皮切りに、同28日までに周辺3町村長も同意を示した。
鈴木知事は同日、道議会定例会で「原発の活用は当面取り得る現実的な選択」として再稼働を容認。一方で、正式な同意は「今定例会での議論を踏まえ、最終的に判断する」としていた。
北海道電の斎藤晋社長は知事の同意表明を受け、「早期再稼働に向け、審査への対応や新たな防潮堤などの安全対策工事に総力を挙げて取り組む」とのコメントを発表した。
泊原発3号機は09年に営業運転を始め、12年から定期検査で停止。北海道電は13年7月、規制委に審査を申請した。北海道電は現在建設中の防潮堤を27年3月までに完成させる予定。核燃料を船で搬出入するための新港と専用道路を原発敷地から約1キロ離れた住宅地近くに建設する計画だが、規模や設計などの詳細は決まっていない。【片野裕之、後藤佳怜】
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