三菱ＵＦＪフィナンシャル・グループ（ＭＵＦＧ）は１２日、三菱ＵＦＪ銀行の半沢淳一頭取（６０）を社長に充てる人事を固めた。グループの中核を担う三菱ＵＦＪ銀行の頭取には、同行専務執行役員の大沢正和氏（５７）を昇格させる。日銀の利上げでメガバンクの経営環境が変化する中、トップ交代で収益力の拡大を目指す。

　来週にも発表する。指名・ガバナンス委員会の承認を経て、両氏とも２０２６年春に就任する予定。

　半沢氏は１９８８年、三菱銀行（現・三菱ＵＦＪ銀行）に入行。経営企画部門が長く２１年４月に頭取に就任した。日銀の超低金利政策を背景に貸し出し部門の収益が伸び悩む中で手数料ビジネスを拡大し、今年６月には個人向け総合サービスブランド「エムット」を始めた。現在は全国銀行協会の会長も務めている。

　大沢氏は９１年に三菱銀行に入行。タイ・アユタヤ銀行の買収や、東南アジア配車大手「グラブ」への出資などアジア戦略を代表する大型案件を主導した。デジタル分野にも精通し、現在は大企業向けの営業を担当している。

　２０年４月にＭＵＦＧ社長に就任した亀沢宏規社長（６４）は同社会長となる。同社の三毛兼承会長（６９）は退任する。【福富智】

　◇半沢淳一氏（はんざわ・じゅんいち）

　東大卒。８８年三菱銀行。三菱ＵＦＪ銀行取締役常務執行役員などを経て２１年４月から頭取。埼玉県出身。

　◇大沢正和氏（おおさわ・まさかず）

　東大卒。９１年三菱銀行。三菱ＵＦＪ銀行デジタル企画部長などを経て２５年６月から取締役専務執行役員。