訪日客、初の年4000万人突破へ 多様な地から来日 日中関係懸念も
政府が17日発表した今年1~11月の訪日外国人客数(推計値)が前年同期比17%増の3906万5600人となり、過去最多を記録した2024年の年間数3687万148人を11カ月で更新した。記録的な円安が欧米からの訪日需要などを後押ししたほか、中国など旺盛なアジアからの需要も取り込んだ。25年は年間初の4000万人突破が確実な情勢だ。
11月単月でも前年同月比10・4%増の351万8000人で同月として過去最多となった。1~11月の国・地域別の内訳では中国が前年同期比37・5%増の876万人で最多となったほか、韓国(848万人)、台湾(617万人)と近隣のアジアで上位3カ国・地域を占めた。マレーシアとインドネシアも20%以上伸び、50万人を超えた。
欧米諸国では米国が22・1%増の303万人で全体を押し上げた。ドイツ(40万人)、イタリア(28万人)、スペイン(23万人)が30%超の大幅増となったほか、イギリス(50万人)やフランス(43万人)も2割前後の伸びで好調だった。
対ドルや対ユーロでの記録的な円安傾向が日本への旅行ニーズを後押ししたとみられる。一方、中東地域が56%増の23万人となるなど訪日需要のある国の多様化も進んだ。
これまでインバウンドを巡っては第2次安倍晋三政権のもと「2020年4000万人」の目標を掲げ、18年に3000万人を突破するなど順調に増加したが、20年以降の世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響で21年は24万人台まで激減。その後、コロナ禍の収束などにより、24年はコロナ前を超える約3600万人となった。
一方、今後は日中関係の悪化が懸念材料となる。中国政府は11月中旬から自国民に日本への渡航自粛を求めており、11月の中国からの訪日客は単月で今年最少の56万人となるなど、不透明感も強まっている。
観光庁の村田茂樹長官は17日の記者会見で「日本と中国を結ぶ国際定期便が減便し、一部でキャンセルの動きが出ている。今後の状況を引き続き注視していく」と警戒感を示した。【杉山雄飛】
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