「物価引き下げた」 支持率低迷のトランプ氏、国民向け演説で自賛

2025/12/18 15:49 

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 トランプ米大統領は17日、ホワイトハウスで国民向け演説を実施した。

 一向に収束しない物価上昇(インフレ)を背景に支持率が低迷する中、経済を中心に政権の実績をアピールした。

 来年11月の中間選挙を見据え、バイデン前政権や民主党の非難を繰り返すなど政治色の強い内容となった。

 トランプ氏は演説で、米経済について「破滅の淵から救い出した」などと自賛。「高騰した物価を非常に速いペースで引き下げている」と強調した。ただ、実際のインフレ率は前年比3%程度で推移しており、適切な水準とは言えない状況だ。

 また、トランプ氏は140万人超の米軍兵士を対象に、クリスマス前に特別給付を支給する考えを明らかにした。建国した1776年にちなみ、1人当たり1776ドル(約27万円)の小切手を発送したという。

 関税収入の一部活用を示唆しており、看板政策である高関税措置の恩恵を実感してもらう狙いもありそうだ。

 連邦準備制度理事会(FRB)の次期議長については、「近く発表する」としたうえで「大幅な利下げを信じる人物」と付け加えた。

 トランプ氏は利下げの必要性をかねて強く主張しており、人選でも重視する考えを改めて示した。

 利下げは一般的に景気を刺激する一方、インフレを助長する効果がある。米国や世界の経済に多大な影響を与えるだけに注目が集まっている。

 与党・共和党は11月のバージニア、ニュージャージー州知事選とニューヨーク市長選で敗北。12月には保守地盤であるテネシー州の下院補選でも苦戦を強いられ、逆風が続いている。民主党候補は、いずれも政府の経済政策を批判して攻勢を強めている。

 演説は主要テレビ局が生中継し、視聴者数の多い「プライムタイム」と呼ばれる米東部時間午後9時に始まった。

 トランプ氏の演説は1時間程度に上ることも珍しくないが、この日は放映時間を意識したのか早口で話し続け、20分足らずで演説を終えた。【ワシントン浅川大樹】

毎日新聞

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