米7~9月期GDP4.3%増 2年ぶり高水準も足元で広がる変調の兆し
米商務省が23日発表した7~9月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)は年率換算で前期比4・3%増となった。2年ぶりの高水準だ。トランプ大統領は自身の経済政策が成功している証しだと誇ったが、勢いは長続きしないとの見方も強い。
伸び率は前期の確定値(3・8%増)から加速し、市場予想(3・2%増)を大幅に上回った。米GDPの7割近くを占める個人消費は3・5%増となり、前期(2・5%増)を大きく上回った。ヘルスケアなどサービス部門のほか自動車も堅調で、全体の伸びをけん引した。
トランプ関税の影響による経済の冷え込みが懸念されていたが、落ち込みは限定的だった。トランプ氏は23日、自身のソーシャルメディアに「トランプ経済の黄金時代は全速力で前進している」と投稿し、高関税政策が逆に経済を上向かせていると自賛した。
ただ、金融大手INGのジェームズ・ナイトリー米国担当チーフ国際エコノミストは「(消費動向が二極化する)『K字型』の経済が目の前に広がっている」と警告する。株価高騰の恩恵を受ける高所得層の消費が旺盛な一方で、生活費の高騰で低所得層の消費は鈍化しつつある。
7~9月期GDPでも、高金利を背景に住宅投資が3四半期連続のマイナスとなるなど経済に変調の兆しも出ている。23日に米調査会社が発表した12月の消費者信頼感指数は前月比3・8ポイント低下の89・1と市場予想(91・0)を下回った。
10~12月期GDPについても大幅な鈍化を予測する市場関係者が急増している。高関税政策などトランプ氏が誇る経済政策の真価が問われるのは、これからと言えそうだ。【ワシントン浅川大樹】
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