危険運転見直し案 飲酒運転事故遺族が意見書 「数値甘すぎる」

2025/12/24 17:49 

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 自動車運転処罰法が規定する危険運転致死傷の要件見直しを巡り、法制審議会(法相の諮問機関)の部会が示した試案の数値基準に対し、飲酒運転事故の被害者団体が「基準が高すぎる」と懸念する意見書をまとめた。基準に達しなければ危険運転が適用されない可能性が高くなるとし、「死傷事故を起こした飲酒運転者にあまりにも甘い。飲酒運転の防止に向けた国民の関心の高まりに反する」と訴えている。

 現行法の規定には具体的な数値基準はない。部会は要件を明確にするため、運転手の呼気1リットルあたり0・5ミリグラム(血液1ミリリットルあたり1・0ミリグラム)以上のアルコール濃度とする試案を9日に公表した。

 「飲酒・ひき逃げ事犯に厳罰を求める遺族・関係者全国連絡協議会」は23日付の意見書で、部会で議論された世界保健機関(WHO)のデータに言及。呼気1リットルあたりのアルコール濃度が0・3~0・5ミリグラムで注意力や警戒心が低下し、反応の遅延が生じるとされており、せめて0・3ミリグラムを採用すべきだとしている。

 試案は、数値基準を下回った場合でも「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態」であれば適用される現行要件を残した。ただ、意見書は正式決定した数値基準が実質的な下限とされないかを強く危惧しており、運用指針を明文化することを要望。厳罰を恐れて現場から逃走する悪質な運転手が増えないよう「逃げ得」を許さない法改正も求めた。【三上健太郎】

毎日新聞

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