「メジャー勝ってないのか」 教え子に厳しく温かいジャンボ尾崎さん

2025/12/24 17:59 

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 国内男子ゴルフツアーで歴代最多の94勝を挙げ、23日に78歳で死去した尾崎将司さんは近年、後進の育成に力を入れていた。愛称「ジャンボ」の厳しくも温かみのある指導を受けた教え子たちは、特に女子が国内外の舞台で活躍している。

 「本当に喜んでくださって。それでも、『メジャーは勝っていないのか』と言われました」

 16日に東京都内のホテルで開かれた国内女子ツアーの年間表彰式。華やかなドレス姿で、こう尾崎さんの姿を語ったのは、今季ツアー初勝利を含む4勝を挙げ、初の年間女王に輝いた佐久間朱莉選手(23)だった。

 尾崎さんは2018年に自身の練習場を置く千葉市に、「ジャンボ尾崎ゴルフアカデミー」を設立した。今季プロ5年目を迎えた佐久間選手は、その第1期生だった。

 4月に自身初のツアー優勝を飾ると、尾崎さんに報告へ行った。

 「(昔に比べ)だんだん優しくなっているんですけど、やっぱり初優勝の報告に行った時が、一番うれしそうな顔をしてくださったかな」

 その後は10月までに3勝を挙げた佐久間選手。優勝すると、機会があれば尾崎さんに会いに行ったという。

 「最初は『おめでとう』と言われるのですが、絶対何かグサッとくること(言葉)がある。でも、本当にジャンボさんらしくて」。豪快な物言いで知られたレジェンドは指導者になっても変わらなかった。

 12月、年間女王の報告のため、尾崎さんのもとを訪れた。そこで飛んできたのが、「メジャーは勝っていないのか」という叱咤(しった)の言葉だった。今季の女子ツアー最多の4勝を挙げたとはいえ、国内メジャーの勝利はなかったことを指したものだった。

 「『おめでとう』の一言で終わると逆に寂しいので、うれしいなと思っています」

 ツアーで94もの勝利を重ね、賞金王も歴代最多の12回手にした尾崎さん。教え子には、さらなる高みを目指すよう、最後の最後まで求め、その思いは佐久間選手にも、しっかり伝わっていた。

 佐久間選手と同じ1期生では今季、西郷真央選手(24)が4月、米国で開かれた海外メジャーのシェブロン選手権を制した。西郷選手は米女子ツアー初勝利で、日本女子は海外メジャー5大大会を全制覇することとなった。

 「西郷(せご)どん」との愛称を付けた愛弟子には、「海外での初優勝がメジャーとは西郷らしいね。西郷どんメジャー優勝おめでとう」と賛辞を贈った。

 約1年前からがんの闘病を続けていたという尾崎さん。最晩年、自らが後進育成でまいた種が、実るのをしっかり見届けて逝った。【飯山太郎】

毎日新聞

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