LPガス設置費用、途中解約で家主に請求は「無効」 最高裁が初判断
LPガス(液化石油ガス)の戸建て住宅の設備を巡り、ガス販売会社と住宅の購入者が結んだ費用の支払いに関する契約の有効性が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は23日、契約を「無効」とする初判断を示した。50万円以上を請求されるケースもあったが、支払う必要がなくなる。訴訟の当事者以外にも同様の契約を結んだ人は全国にいるとみられ、消費者の権利を重視した司法判断となった。
LPガス業界では、住宅の建設時にガス販売会社が配管工事をし、その時点で費用を住宅の購入者に一括請求せず、ガス供給を途中で解約した場合に請求する「無償配管」と呼ばれる商慣行が続いてきた。販売会社にとっては長期契約が望めるような手法だったが、2024年の省令改正で、業者の切り替えを制限するような契約は禁じられた。ただ、改正前の住宅購入者にとっては業者変更の障害となっている。
訴訟では、ガス販売会社「エネライフ」(東京)が10年以内に供給を解約した住宅購入者に対し、契約年数に応じた算定式に基づき、設備の設置費用として代金の支払いを求めた。
小法廷は、エネライフの手法は、短期間での解約を防止して中途解約による損失を補塡(ほてん)する目的があると指摘。設備費用は契約者全体から得られるガス料金で回収する仕組みで、エネライフには解約に伴う損害が生じていないことから、解約に伴い請求した費用は消費者契約法が定める過剰な違約金に当たると判断した。
その上で、裁判官5人全員一致で契約は「無効」と結論付けた。同様の契約は他の業者も採用しているとされ、判決の影響はこうした業者にも及ぶ見込み。【三上健太郎】
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