「思い出をありがとう」 高島屋堺店が閉店 最後の買い物楽しむ

2026/01/08 14:30 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 高島屋堺店(堺市堺区)が7日閉店し、61年の歴史に幕を下ろした。大勢の来店客が最後の買い物を楽しみ、名残を惜しんだ。

 営業を終えた午後7時過ぎ、1階正面入り口前で並司店長が「61年間お世話になりました」とあいさつした。並店長ら従業員27人が整列して深々とお辞儀し、店のシャッターを下ろした。見守る人たちから「ありがとう」との声が上がり、大きな拍手が起きた。

 並店長は取材に対し「多様化するお客さまのニーズに応えられなかった。コロナ禍で消費行動が大きく変わり、(収束後に)お店に立ち寄ってもらうことが少なくなった。お客さまの生活や人生にかかわれて感謝している」と語った。

 店内は終日混雑し、行列ができた。店内のあちこちに「61年間ありがとう」と書かれたバナーが飾られ、来店客は思い出に残そうと写真を撮っていた。

 堺市北区のパート従業員、高橋智恵子さん(64)は「寂しい。地元の百貨店の温かみがあった」と話した。5階の「61年の歩み展」の会場に張り出された来店客がつづるメッセージは7000枚を超え、長女の嶋谷沙樹さん(35)は「たくさんの思い出をありがとう」と書いて張った。

 堺店は南海電鉄堺東駅の駅ビルに1964年10月に開店した。売り上げはピーク時の91年度の300億円から2024年度に102億円まで減り、5年連続で赤字だった。

 ◇跡地に「HiViE堺東」開業へ

 駅ビルを所有する南海は、跡地に商業施設「HiViE(ヒビエ)堺東」を開業する。改装工事を4月から始めるが、開業時期や入居店舗は明らかにしていない。南海は「これまで来ていた地域住民や百貨店の利用者にも支持される施設を目指す」と説明する。

 閉店について、堺市の永藤英機市長は25年12月の記者会見で「残念だが受け入れざるを得ない。閉店後、できるだけ期間を空けずに新たな店舗が設けられ、にぎわいが損なわれないことを期待する」と述べた。

 高島屋は東京や大阪の都市部の大型店舗が売り上げを伸ばす一方、郊外や地方都市では厳しい状況が続く。14年に和歌山店、20年に港南台店(横浜市)が閉店し、23年に立川店(東京都立川市)が専門店化した。24年に岐阜店が閉店し、26年8月に洛西店(京都市)が営業を終える。【中村宰和】

毎日新聞

経済

経済一覧>