電事連次期会長に関電・森社長 「浜岡の事案は深刻なもの」と陳謝
電力大手10社でつくる電気事業連合会(電事連)は20日、次期会長を関西電力の森望社長(63)とする人事を決めた。前会長の林欣吾・中部電力社長は、今年初めに浜岡原発(静岡県御前崎市)で耐震設計の根幹となる基準地震動の策定手法に不正行為が発覚し、1月16日に辞任した。原発の安全性への懸念が広がるなか、新会長には難しいかじ取りが求められている。
関電社長の就任は、同社と子会社の役員ら83人が計約3億7000万円相当の金品を受領した問題で、2019年10月にわずか4カ月で会長を辞任した岩根茂樹元社長以来、約6年4カ月ぶり。電事連加盟10社の社長が出席する20日の運営会議で選任された。
森氏は記者会見し「浜岡の事案は原子力事業の根幹を揺るがしかねない極めて深刻なものであると受け止めている」と陳謝した。一方で「原子力事業の重要性は変わりない。原子力を推進する中で、誠実かつ透明性を持って対応していくことが重要だ。業界が一丸となって信頼を得られるように全力で取り組みたい」と述べ、再発防止策の水平展開に努めるとした。電事連は、他9社では同種事案がないことを確認している。
電事連会長は事業規模の大きい東京電力ホールディングス、関電、中部電が務めるのが慣例で、東電福島第1原発事故以降は主に関電と中部電が担ってきた。ただ、関電は岩根氏の辞任以降も新電力の顧客情報の不正閲覧、他の電力大手3グループとの電力販売カルテルなどが発覚し、会長職から遠ざかっていた。
森氏によると、今回は加盟各社社長から推薦があったといい、「極めて責任の重い役割だが、受けるのが業界の一員としての筋だと考えた」と説明した。「過去のコンプライアンス(法令順守)問題と今回(の会長就任)は別だ。個社としてさまざまな改善をしてきた」と語った。
関電は23年9月に高浜2号機を再稼働させ、美浜と大飯の両原発を含めて立地する福井県内で全7基の再稼働を実現した。25年11月には、美浜原発敷地内で原発の建て替えに向けた地質調査を再開した。
ただ、原発の建設には20年以上かかるほか、建設費用は1基1兆円以上とされ、投資回収が大きな課題だ。このため、業界内には「高市早苗政権で原子力に追い風が吹く中、リーダーになれるのは関電だと思っている人は少なくない」と国への働きかけに期待する声も上がる。
高市首相率いる自民党が衆院選で大勝し、原発回帰の機運が高まるが、使用済み核燃料を処理して再利用する核燃料サイクルの完成などは見通せていない。電力業界のトップとして課題は山積している。【中島昭浩、妹尾直道】
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