識者が危ぶむ首相の「過度な緊縮志向」発言 払拭できぬ市場の懸念
高市早苗首相が就任後、初めて臨んだ施政方針演説は、「高市カラー」を前面に押し出す内容となった。その焦点をどう見るべきか、識者に聞いた。
◇日本総研主席研究員・河村小百合氏
日本の財政状況を示す表現として「過度な緊縮志向」といった言葉を使う高市早苗首相の現状認識から問題を感じざるを得ない。「マーケットからの信認を確保していく」と語るが、このような認識のもとで財政運営を進めるのであれば、市場の懸念は払拭(ふっしょく)されない。首相就任以降、財政悪化懸念から金利が上昇し、円安が進んだことの意味を真剣に受け止めていないのではないか。
「成長」を語る上での認識も正しいものではない。日本の技術革新力や労働の効率性などを「他国と遜色ない」と評価するが、非製造業のIT化などは遅れている。経済成長に必要な最も大きな要素は人口だが、人口減少の問題にあまり触れていない。それで、投資さえすれば経済成長につながるかのように語るのは、カネの力、政府の力を過信している。産業政策は投資だけでは成功しない。
必要な予算を可能な限り当初予算で措置するという構造改革の方針は評価する。投資を進めるための複数年度予算の推進についても、毎年度の収支目標を立てれば問題ない。ただ、高市内閣が収支への目配りができるかは疑問だ。首相は「財政規律にも配慮する」と強調するが、財政健全化の指標となる国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)に全く触れなかったのにも驚いた。
消費減税については、超党派の国民会議で今後議論していくということだが、演説で責任を持って財源についても語るべきだった。【聞き手・加藤結花】
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