異例の不祥事、現場に欠けた理解 不正取り締まりで警察庁に危機感

2026/02/20 19:46 

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 神奈川県警による不正な交通取り締まりを巡り、警察庁は20日、再発防止策を示した通達を都道府県警に出した。現場を巡回する指導チームの新設といった踏み込んだ内容で、身近な乗り物の自転車の違反取り締まり制度が4月に大きく変わるのを控え、適正な取り締まりの実施に向けた危機感がにじむ。

 20日に記者会見した県警の今村剛本部長は「交通取り締まりに対する信頼を大きく損なうもので、深くおわび申し上げます」と謝罪した。2700件もの違反が取り消される事態になった異例の不祥事。2年半にわたって不正が繰り返された背景として、隊員に取り締まりに関する基本的な意識が欠如していた▽指導すべき幹部による業務管理が不十分だった▽不正に疑念を持った隊員が上司に相談できる状況がなかった――という3点を挙げた。

 さらに、県警では2025年4月まで、本部の交通指導課が、交通取り締まりの「水準」とする数値を各所属に伝えていたことが判明した。警察庁は「ノルマだという誤解を招く数字で、適切ではなかった」としている。

 警察庁は、取り締まりは件数を稼ぐことではなく、事故の抑止が目的だという理解が現場で欠けていたと指摘。基本意識や捜査書類の作成方法を徹底する「巡回指導官チーム」を警察庁と各警察本部に設置し、管理の目を行き届かせる。

 他の隊員らが上司に相談できなかったことを受け、現場から疑問や意見が集まりやすいように各警察本部に相談窓口も新設する。

 4月には、自転車の交通違反に「青切符」を交付して反則金を納付させる新ルールが始まる。これを議論した有識者検討会からは「国民から疑念を抱かれるような取り締まり」をしないようくぎを刺されていた。

 取り締まりの適正さを確保するため、運転手が否認する事案ではパトカーのドライブレコーダー(ドラレコ)の映像を保存して活用するほか、違反車両の速度を計測する機器の研究・開発も進める。神奈川県警では抜き打ちでのドラレコ映像の確認も実施する。

 今回の不正により、違反を取り消す対象は38都道府県の約2700人に上る。対象者には県警が電話や戸別訪問で謝罪するほか、24時間の専用ダイヤル(045・365・3177)で相談を受け付ける。【深津誠、横見知佳】

毎日新聞

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