池松壮亮、”映画人としてのルーツ”エドワード・ヤン監督作品への愛さく裂「遺伝子を受け継いで…

2025/04/13 17:42 

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エドワード・ヤン監督作品への愛をさく裂させた池松壮亮 (C)ORICON NewS inc.

 俳優の池松壮亮が13日、都内で行われた映画『カップルズ』4Kレストア版(18日公開)公開記念『▼嶺街少年殺人事件(▼=牛+古)』トークイベントに登壇し、自身の俳優業への影響も明かしながら、エドワード・ヤン監督作品への思いをたっぷりと語った。

【写真】詳しすぎ…!エドワード・ヤン監督作品への愛を語る池松壮亮

 本イベントは、『▼嶺街少年殺人事件』、『ヤンヤン 夏の想い出』などのエドワード・ヤン監督が、1996年に発表した『カップルズ』が4Kレストア版の公開を記念して開催。ほかに、映画評論家の森直人氏が登壇した。

 ヤン監督は、自身にとって学生時代からスペシャルな存在だという池松。『▼嶺街少年殺人事件』は日本大学芸術学部映画学科在学中に観たといい、「どうやってたどり着いたのかはわからないんですけど、ビデオで。なんにも観れなかったです。渋谷のTSUTAYAで借りました」と明かす。森氏が「てっきり2017年のデジタルリマスター上映で最初にご覧になったのかと思ったら、伝説のVHSで。渋谷のTSUTAYAに1本だけあって、みんなそれ借りるし、もともと闇の深い画面なんで、ビデオだと本当に潰れちゃって」と補足。

 続けて池松は「意地で全部観ました。で、もう一回借りました」と粘り強く鑑賞したとしたが、感想については「いや、もう何も…。印象はほぼないですね。本当に何が映ってるのかわからずに、ただただ何かを、この映画の何かを探して」とわかるものもわからない環境だったと告白。それが明らかになったのが、2017年のデジタルリマスター上映だったとし、「あのときに観た映画は、こんなにすごい映画だったんだっていうことをやっとわかったような印象が残ってます」と振り返る。

 また「当時何を思ったのかは覚えていないんですけど、ずっと自分の中にあるものかなと。エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェン、2人は特別だったんです」とヤン監督と台湾映画の一時代を築いたシャオシェン監督をともにあげ、「『自分が映画人としての末端にいるとしたら、辿っていくとこの2人にすぐ行き着くんじゃないかなという気はしています」と自身の映画人としてのルーツに通ずると語った。

 近年はなかなか一般に流通しておらず、観る機会が少なかったというヤン監督作品。池松は「ようやく『カップルズ』も観れてですね。ただ、他の誰かと共有した記憶がなく…」とぽつり。映画学科の学生時代も「当時、男子はノーラン(クリストファー・ノーラン)の話しかしない。あんまりあの映画の話をできる子が周りにいなかったので」と明かした。

 そんな環境だったが、ヤン監督作品への造詣を自らの中で醸成していった池松は、ヤン監督について「うまく言葉にできないですけど、確実に勝手に遺伝子を受け継いでいるような感覚です」とし、「1番映画を知りたい時期に、これが映画なんだっていうことをエドワード・ヤンに教えてもらったつもりでいる」とも明かした。

 最後には、「これ(『▼嶺街少年殺人事件』)を観続けられること、劇場で体感しつづけられることがすばらしいことだなと思います」とし、「人生の4時間を過ごすにあまりに贅沢な、適した時間だと思います。もしまだ周りに観ていないという方がいたら、本当に人生の4時間をこの映画に預けてみてほしい」と呼びかけた。「非常に視点が高いからこそ、これだけの普遍性を獲得してるんだろうなと。1本1本大きなテーマのもとやってるんだろうなと思います。どんな時代に見ても、また10年後、20年後に見ても、きっと傑作だと思います」と断言。終始エドワード・ヤン監督作品への愛に溢れたトークイベントとなった。
ORICON NEWS

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