「4年後に戻ってきて」 小学生らがサケの稚魚放流 新潟・村上

2025/04/14 17:15 

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 新潟県内最大のサケの産地である村上市で14日、サケの稚魚の放流式が行われた。体長5センチほどの稚魚約8000匹が、地元の小学生らによって三面(みおもて)川に放流された。三面川では温暖化などの影響を受けて捕獲数が急減し、ふ化させる卵も確保しづらくなっており、出席者は「立派に成長して戻ってきてほしい」と願いを込めた。

 放流式は三面川鮭産漁業協同組合(村上市)が主催。村上小や瀬波小など村上市内5校の児童約170人が招待された。児童たちは時折小雨が降る中、「戻ってきて」などと声をかけながら、バケツに入った稚魚を放流した。瀬波小の宮村耀さん(5年)は「放流は初めて。稚魚はうまく泳いでくれた。4年後に戻ってきてほしい」と話した。

 食卓に欠かせないサケだが、全国的に不漁が続いており、「サケのまち」として知られる村上市も例外でない。漁協によると、三面川での捕獲数は2024年度で5519匹と、不漁だった23年度よりも2割以上減った。これに伴い、稚魚になる卵も十分に確保できず、25年春の放流数は前年から8割減の約100万匹にとどまる見通しだ。サケの不漁は、地球温暖化による海水温の上昇が影響しているとみられる。

 佐藤克雄組合長は「サケを取り巻く状況は大変厳しい。数は少なかったが昨年も(三面川に)戻ってきている。サケの生命力に期待したい」と述べた。【神崎修一】

 ◇三面川のサケ捕獲数の推移

2020年度 2万7989匹

  21年度 1万8780匹

  22年度 2万 458匹

  23年度   7260匹

  24年度   5519匹

毎日新聞

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