公取委、Googleの独禁法違反認定 米巨大ITに初の排除措置命令
米グーグルがスマートフォン端末メーカーとの契約で自社アプリの初期搭載や競合する検索サービスの排除を不当に要求したとして、公正取引委員会は15日、同社の独占禁止法違反(拘束条件付き取引)を認定し、再発防止などを求める排除措置命令を出した。「ビッグテック」と称される米巨大IT企業に対し、公取委が同命令を出すのは初めて。同様の契約行為を禁じるとともに、改善状況を第三者機関が5年間監視するとしている。
グーグルは世界のスマホ基本ソフト(OS)やインターネット検索で圧倒的な市場占有率(シェア)を握り、日本国内では自社OSのアンドロイドを搭載したスマホの出荷台数が推計で年間1000万台弱とされる。公取委は今回、グーグルがスマホ端末メーカーと交わした2種類の契約について、メーカーの事業活動を「不当に拘束した」などと指摘した。
公取委によると、グーグルは遅くとも2020年7月以降、自社のアプリ配信サービス「グーグルプレイ」の搭載を許諾する条件として、検索エンジン「グーグルサーチ」やブラウザー「グーグルクローム」など自社アプリの初期搭載を強要し、ホーム画面の目立つ位置にアイコンなどを配置するよう求めた。
グーグルプレイはアプリをはじめ、ゲーム、音楽といったコンテンツの取得に必要で広く使われる半面、スマホ利用者が個別にインストールすることはできない。このため、搭載したい端末メーカーはグーグルが提示する許諾条件をのまざるを得なかったという。
また、グーグルは端末メーカーに対し、検索連動型の広告で得た収益を分配するのと引き換えに、競合他社の検索エンジンを排除するよう要求。加えて、初期設定で自社の「検索窓」をホーム画面に表示させる取り決めなども求めていた。
公取委は一定の個別条件に基づく収益分配自体は問題視していないものの、複数の条件が重なれば参入障壁となり、結果的にスマホ利用者がグーグルのサービスを使い続けるよう誘導されるなど、健全な市場競争を阻害すると判断した。
グーグルの独禁法違反を巡っては、公取委が24年4月、競合するLINEヤフーの取引を一部制限した疑いがあるとして「確約手続き」を適用した事例がある。独禁法の行政処分の一つで、公取委に自主的な改善措置を認めてもらうことで、事業者は法令違反の認定と排除措置命令など強制的な処分を免除される。
一方、今回は確約手続きではなく、排除措置命令に至った。関係者によると、公取委は約1年半に及んだ調査の過程で、グーグルからの確約手続き適用の打診を拒否。調査開始から1年以上経過した時点での打診は早期の問題解決を図るという確約手続きの趣旨にそぐわないことや、今回の不正はグーグルのビジネスモデルの根幹に関わり、自主的に適切な改善措置を期待するのは限界があることなどを考慮したとされる。【山田豊、渡辺暢】
◇グーグル側「遺憾の意を表明」
グーグルは「公正取引委員会の調査結果に遺憾の意を表明する。当社と(スマートフォンメーカーなど)日本のパートナー企業との契約は、競争を促し、各社製品へのイノベーション投資を促進することで、消費者の皆様により多くの選択肢を提供してきたと考えている。今回の命令を精査し、今後の対応を慎重に検討する」とのコメントを出した。【町野幸】
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