納期まで2ヵ月“100人規模の大乱闘”… 独創的な万博パビリオン生む「膜」をめぐるヒストリ…

2025/05/24 19:07 

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25日放送『関西リーダー列伝』より 写真提供:2010年万博 日本館

 大阪・関西万博の大屋根リングや数々のパビリオンを支える、太陽工業の能村祐己社長が、テレビ大阪で25日放送の『関西リーダー列伝』(後2:00)に出演する。

【写真】膜に注目… 大阪・関西万博の「サウナ」、70年万博の「富士グループ館」

 万博ではパビリオンの独創的なデザインに「膜」が大きく貢献している。太陽工業は、この分野で世界トップレベルにある。能村氏の曾祖父が立ち上げた「能村テント商会」が原点。戦後、リュックサックや船舶用シートを製造したことをきっかけに、「太陽工業」として事業を拡大し、室内装飾や劇場・映画館の膜、カーテンなど、多岐に幅を広げた。1970年に開かれた前回の大阪万博では、膜を使ったテント構造物の9割を手がけた。

 1983年に誕生した能村社長は4人兄弟の末っ子として生まれ、毎日夜11時まで家庭教師がつき、勉強漬け。小学6年生で単身イギリス留学。帰国後は甲南大学に入学、起業家研究会に入り、「学生生活に役立つ」インターネットサービスを運営し、校内の3分の1が利用するも収益の確保がうまくいかずシステム開発費がかさみ終了となった。そんな姿を見ていた父親の勧めで入社したとある上場企業で能村が学んだこととは…。

 2010年、能村は中国「上海万博」会場にいた。納期まで残り2ヵ月の中、現場は寝る間を惜しんで睡眠3時間で作業をするも、次々に破れる膜。解決策が見つからず、些細なことから100人規模の大乱闘が発生したという。能村社長が「一番大変だった現場」の真相を語る。

 今回の万博では、太陽工業による「未来型のサウナ」が話題。白を基調とした空間に、特殊膜を用いたサウナ室には、自然光が差し込む。水風呂やラウンジも完備し、まるでリゾートのよう。7種類の香りと音や光の演出で五感を刺激する、極上のリラックス体験を現地からレポートする。

 このほか、万博で30以上の施設に携わっている。落合陽一氏が手掛けるシグネチャーパビリオン「null2(ヌルヌル)」では新素材「ミラー膜」を採用。 金属と樹脂を組み合わせて開発した膜で、柔らかいため振動などに応じて映り方が変化する性質を持つ。さらに世界最大の木造建築物としてギネスにも認定された大屋根リングでも川をイメージしたこの白い部分が太陽工業の膜でできている。その他、現在取り掛かる大型スタジアムや、子どもたちが大好きな「ふわふわドーム」の制作秘話も明かされる。
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