【ライブレポート】過去も未来も3人で──Perfume、“コールドスリープ”前に東京ドーム…

2025/09/24 23:30 

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『Perfume ZO/Z5 Anniversary “ネビュラロマンス” Episode TOKYO DOME』の模様 写真:上山陽介(Yosuke Kamiyama)

 Perfumeが22日、東京ドームにてコンセプトライブ『Perfume ZO/Z5 Anniversary "ネビュラロマンス" Episode TOKYO DOME』の初日公演を開催した。前日21日には、年内をもって活動を休止する“コールドスリープ宣言”を発表。メジャーデビュー20周年の記念日に届けられたこの発表は大きな話題となったが、この日の会場には悲壮感ではなく、未来へ向かう希望とともに、メンバー3人への深い愛情があふれていた。

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■ファンの手拍子が包んだ開演前、希望に満ちたスタート

 開演直前から観客の手拍子が自然と起こり、10分以上にわたって鳴り止まない熱を帯びた空気の中、開演のアナウンスが流れると、場内は一気に総立ちとなり、大きな歓声が3人を迎えた。

 「もう一度、あの日から始めよう」というナレーションとともに幕を開けたライブ。冒頭の「GAME」ではシルバーの衣装をまとい、ライトセーバーを用いた演出や緻密なダンス、サイバーな映像との一体感が観客を引き込んでいく。続く「再生」では、あ〜ちゃんが「今日は私たちを祝ってくれてありがとう!」と呼びかけ、笑顔とリラックスした表情でステージに立つ3人の姿が印象的だった。

 「Cipher」「再起動世界」と曲が進むにつれて、ステージは“物語”のステージへと移行。映画のような映像と衣装演出が施され、ここでツアータイトルが表示されると、『ネビュラロマンス 後篇』が本格的にスタートする。今回、キーマンである“カキモト”の正体が明かされることが予告されつつ、楽曲「ネビュラロマンス」へと流れ込む。3人の表情には終始楽しさがにじみ、「私たちを照らして」の歌詞とともにレーザーが放たれ、観客を近未来の物語世界へといざなった。

■涙と覚悟、3人それぞれのMCに込めた想い

 その後のMCでは、3人がそれぞれの想いを語った。あ~ちゃんは涙を浮かべながら「9月21日に大切な発表を私たち3人からさせてもらいました。25年活動してきて、この人生はPerfumeとともにあります。それはこれからも変わりません。ちょっとイメチェンして、パワーアップして、私たちなりに新しくしてね、戻ってくるっていうことはもう決めてますからね」と語った。

 この言葉に大きな歓声が巻き起こり、笑いも交えながら「ちょっとコールドスリープしちゃうのでね」と軽やかに未来を語る姿が、前向きな決意として胸に響く。

 かしゆかもまた、感情を抑えながら言葉を紡いだ。「心がざわざわしてる人、たくさんいると思います。私たちも同じ気持ち。でも今日は、1人残さずみんなで一緒に最高のライブを作りたい」。この言葉が会場全体の空気を一層温かく包み込んだ。

 のっちは「東京ドームに立つのは5年ぶりです」と語り、前回の2020年2月公演を振り返る。「準備はいいですかー!?」と力強くあおる彼女の姿からは、今回のライブにかける強い思いが伝わってきた。

■演出が導く物語、転生する3人──感動のクライマックス

 中盤では「エレクトロ・ワールド」「ソーラ・ウィンド」「Virtual Fantasy」などを展開。3方向に延びた花道を駆使した演出、キックボードでの移動などで、すべての観客が等しくライブに巻き込まれていく。「FUSION」では天井に影を映すというドームならではの演出も見られ、ライブは物語のクライマックスへと向かう。

 「Perfumeの掟 2025」では、ソロセクションごとに個性が光る演出が次々に繰り広げられ、続く「Flow」では「あの日から変わらない」の歌詞が大きく表示されると、その言葉と3人の姿が重なり、場内には静かな感動が広がった。

 そして「Teenage Dreams」のバラードを経て、ついに物語は核心へ。「実は“カキモト”は3人の父だった」と明かされ、彼の手により造られた機械人間たちは、“カキモト”の消滅によって人間に戻る。だが、Perfumeの3人は姿を消してしまうのであった。しかし、「Moon」のあとに流れた映像で、“転生”した3人が再び出会い、同じ場所で歌い、踊り出したことが明かされる。映し出された「これからだってきっと大丈夫」というメッセージがまさにこれからのPerfumeの姿を示していた。希望と再生の物語に、涙ぐむ観客の姿も多く見られた。

 そして「exit」で物語は幕を閉じ、スクリーンにはエンドロールが流れた。映画を観たような深い余韻が残るなか、ここからは“Perfume”としてのライブが再開する。

■現在がいちばん輝いていた──名曲たちとともに締めくくられた祝祭

 中田ヤスタカによるリミックスで名曲たちがパフォーマンスされ、「ポリリズム」へ突入。スクリーンに過去の3人のライブ映像が映し出される中、現在の3人の表情がいちばん輝いていた。3人全員が、長いキャリアのなかでもとびきりの笑顔でステージを駆け抜けていた。

 そして「Butterfly」「edge」「チョコレイト・ディスコ」と名曲が続き、客席のボルテージは上昇の一途。続く「P.T.A.のコーナー」では秋のダンス“ガボチャ”“ススキ”“栗拾い”を会場全員で楽しみ、場内は一体となった。

 「NIGHT FLIGHT」「MY COLOR」では、全員が腕を振り上げ、あ~ちゃんの投げキッスにファンが歓声で応える。最後は3人が肩を組んでステージをあとにした。

 ラストMCでは、3人がそれぞれの想いをじっくりと語った。

 あ~ちゃんは、9歳で知り合ったかしゆかとの幼少期の思い出、スクールで“スター”だったのっちとの出会い、そして25年という時間を3人で歩んできたことに言及し、涙ながらに「こんなすっげえ人が隣にいるんだもん、永遠にやっていきたいよね」と語る。「今回の発表は、ずっとずっと一緒にいられるために、3人が新しい挑戦をするという宣言でした。必ずまたこの時間に戻ってきたい。その日まで、みんな元気でいてね」と呼びかけると、場内には大拍手が広がった。

 かしゆかは、「昨日発表してライブをするのにね、みんながどういう顔で来るかなってちょっと不安だった」と明かしながら、「私たちとみなさんの絆は、こんなことじゃ揺るがないし、3人は必ずつながってる」と言葉を重ね、のっちは「幸せなことに、疲れたとか1人でいたいみたいなことが3人ともまったくない状態で、今回の選択ができた」「ぱっと未来が開けたような感覚があります」と未来への希望を言葉にした。

 そして披露されたのは「巡ループ」。まっすぐな歌声とダンスでパフォーマンスを終えたあと、“25”からカウントダウンが始まり、3人はベールを引いて静かに進み出す。「1」が表示された瞬間、3人はステージ下へと消え、そこには輝く3体のオブジェが残された。

 すべての演出と物語が、いまのPerfumeを表し、そしてこれからのPerfumeを示唆していた。悲壮感ではなく、未来への希望と覚悟に満ちたライブ。隙のない演出と圧倒的なパフォーマンスの連続に、3人が最高の状態でこの“決断”を迎えたことが伝わってくる。そしてそれを支えるファンの温かさもまた、この特別な一夜を完成させる大きな力となっていた。

■セットリスト
M01. GAME
M02. 再生
M03. Cipher
M04. 再起動世界
M05. ネビュラロマンス
M06. エレクトロ・ワールド
M07. ソーラ・ウィンド
M08. Virtual Fantasy
M09. FUSION
M10. Perfumeの掟 2025
M11. Flow
M12. Teenage Dreams
M13. Human Factory - 電造人間 -
M14. Moon
M15. exit
M16. Perfume ZO/Z5 Reeeeemix
 01. ポリリズム
 02. Butterfly
 03. edge
 04. チョコレイト・ディスコ
 「P.T.A.」のコーナー
 05. NIGHT FLIGHT
 06. MY COLOR
M17. 巡ループ
M18. GISHIKI
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