ダンプカーの「架装物」巡りカルテル 公取委が2社に課徴金59億円命令

2025/09/24 15:30 

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 ダンプカーなど特装車の荷台部分の装備「架装物(かそうぶつ)」やトレーラーの販売を巡り価格カルテルを結んだとして、公正取引委員会は24日、架装物メーカー「極東開発工業」(大阪市)と100%子会社「日本トレクス」(愛知県豊川市)の独占禁止法違反(不当な取引制限)を認定し、再発防止を求める排除措置命令を出した。計59億2553万円の課徴金納付も命じた。

 2社の他に「新明和工業」(兵庫県宝塚市)とその100%子会社「東邦車輛」(本店・群馬県邑楽町)についても公取委は独禁法違反を認定したが、いずれもカルテルを自主申告したことから、課徴金減免制度(リーニエンシー)によって命令と課徴金を免除した。

 公取委によると、4社は親会社同士、子会社同士でそれぞれカルテルを結んでいた。架装物の販売先はディーラーや建設会社、自治体などで国内市場は約1000億円規模。トレーラー市場も同規模とされ、いずれも4社が7~8割のシェア(市場占有率)を握る寡占状態だった。不正の背景には原料となる鋼材価格などの高騰があったという。

 極東開発工業と新明和工業は遅くとも2022年2月までに、同4月以降に販売するダンプカーなどの架装物の販売価格を引き上げることで合意。さらに、23年4月以降に販売するゴミ収集車用の架装物や、トラックなどの後部に取り付けるテールゲートリフター(昇降板)についても、合意の上で価格を引き上げていた。

 2社はカルテルを結ぶ以前から月1回程度、部長級の社員が双方のオフィスで納期などの情報を交換しており、次第に価格調整も行うようになった。引き上げ幅は約13%に及んだ。

 一方、日本トレクスと東邦車輛はトレーラー販売でカルテルを結んでいた。双方の担当者がオフィスや飲食店で会合を開き、営業戦略を検討する材料として車種ごとの納期に関する情報を交換。販売価格でも複数回の合意を重ね、最終的に約10%を引き上げた。

 今回の命令を免れた新明和工業は機械式駐車場設備納入を巡る談合で23年9月に公取委の立ち入り検査を、25年3月に排除措置命令を受けており、これに伴う社内調査で特装車を巡るカルテル疑惑が発覚したという。

 命令を受けた極東開発工業は「このような事態に至ったことは誠に遺憾。グループをあげてコンプライアンスの徹底を図るとともに、内部管理体制を強化し再発防止に努め信頼の回復に取り組む」とのコメントを発表し、役員報酬を一部自主返納することを明らかにした。【山田豊】

毎日新聞

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