韓国・尹大統領の弾劾審理が加速 「違憲」に焦点 捜査は足踏み
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の戒厳令宣布を巡り、高官犯罪捜査庁(高捜庁)による尹氏への内乱容疑での捜査は3日の「逮捕状執行中断」で足踏みする一方、尹氏の罷免の是非を判断する憲法裁判所は審理のスピードを上げている。早ければ3月中にも決定が出るとの見方もある。
憲法裁判所は3日に行われた2回目の弁論準備手続きで、14日を弁論期日に指定し、審理を本格開始すると決めた。2月4日までの計5回の期日も決定。今後、旧正月連休を除き、週2回のペースで審理を行う。裁判官は尹氏側が戒厳令宣布の経緯などに関する答弁書をいまだ提出していないことについて「戒厳宣布から1カ月がたった。なぜ宣布したのか答えがなければならない」と、いらだちを示した。
また、野党議員らで構成する国会弾劾訴追団は、審理では尹氏の刑法上の内乱容疑は争わず、戒厳令が憲法違反であることにのみ焦点を当てる方針を示した。審理をさらに早める狙いだ。朝鮮日報によると、国会側代理人は「刑事訴訟のように内乱罪を扱うと審判が長くならざるを得ない」と説明した。
野党が審理を急ぐ背景には、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表の「司法リスク」がある。李氏は昨年11月、公職選挙法違反(虚偽事実の公表)罪で1審で懲役1年、執行猶予2年の有罪判決を受けた。尹氏が罷免された場合に行われる大統領選までに、最高裁で100万ウォン(約11万円)の罰金刑以上が確定すれば、李氏は被選挙権を失ってしまうためだ。
しかし、野党主導で国会を通過した弾劾訴追案では内乱容疑を弾劾理由の軸にしていたため、尹氏の弁護団は再び国会で新たな訴追案を採決すべきだと反発している。
一方、高捜庁や警察などで作る合同捜査本部は3日、逮捕状執行に抵抗した大統領警護庁の朴鍾俊(パク・ジョンジュン)庁長らに対し、公務執行妨害容疑で出頭を要請したが警護庁側は4日、これを拒否。聯合ニュースによると「可能な時期に調査に応じるために警察と協議中」と説明しており、高捜庁が逮捕状の執行期限の6日までに尹氏を逮捕できるかは不透明な状況になっている。【ソウル日下部元美】
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